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第5章 海洋分野への新技術の活用ニーズに関する検討

 

5.1 はじめに

 

本調査研究の目的は、広く横断的な視点から21世紀に向けた新しい海洋利用技術を創出することである。前章では、先端技術(技術シーズ)の視点から海洋をながめてみた。本章では、1] 検討委員会の委員へのアンケート調査、2] 昨年度検討した海洋の基本スコープ、および3] 内外の研究動向調査等に基づいて、海洋の「利用ニーズ」の観点から、21世紀の海洋のあるべき姿を検討した。本章の検討フローを図5.1-1に示した。

本調査委員会の委員へのアンケートやこれまでの調査結果をまとめると、21世紀の海洋のあり方として、基本的には社会の諸問題に対応した海の利用という視点が色濃く出たが、技術それ自身の重要性や科学研究としての海の利用も無視できないものがあった。すなわち、21世紀における海洋の利用ニーズは、下記の3つに分類できることがわかった。

 

(1) 21世紀の諸問題を解決する場としての海洋の利用ニーズ

本調査の問題意識でもある「21世紀の社会的な諸問題を海の利用を通して解決しよう」というものである。いわば「社会的なニーズ」として海の利用を捉えるものである。

 

(2) 技術や産業創造の場としての海洋の利用ニーズ

これまでの検討のなかで、根本まで遡れば上記の社会的なニーズに根をおくものでも、現状ではその技術開発自体の意義が大きく、「技術ニーズ」として一定の意味を持っているものである。

 

(3) 科学研究の場としての海洋の利用ニーズ

前2項以外に、研究の対象としての「海洋」も存在する。いわば「科学的なニーズ」と考えられるものである。

 

次節では、順に、「21世紀において海に求められるもの」と「そのための新たな利用の具体例」を示すことにする。

 

 

 

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