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4.4 まとめ

 

4.4.1 研究開発の基本方針

 

今回の海外調査結果から各国の海洋開発の基本方針の特徴は、以下のように整理することができた。(表4.4.1-1)なお、今回の調査では、海洋開発に一線で取り組んでいる研究者を中心に面談調査を行ったものであり、現場の生の声を反映したものであるが、ここで整理したことが各国の機関すべてにわたる共通の認識と考えてよいかどうかについては、必ずしも保証するものでないことは注記したい。

 

(1) 欧州の海洋開発の基本姿勢

 

1] 海洋開発に対して国家レベルで明確な指針を持ち、これに基づいて海洋開発に積極的に取り組んでいる。

・北海石油で得た資金を次世代の研究開発投資に回し、今のうちに21世紀の礎を築く。海洋立国を目指す。(ノルウェー)

・国内に海洋研究のネットワークを張り巡らせる。海洋分野で世界をリードする。

(フランス)

 

2] 海洋開発に関して、事業化の視点が明確である。

・可能な限り民生品、既存システムを用い、低コスト化に努める。(SINTEF)

・他にはないユニークな機械、設備、技術を開発しピジネスにつなげる。(SOC)

・大学で得た基礎研究の成果を事業化する。(グーテンベルグ大学)

・海洋基礎研究で得た「知識」を基に社会貢献する。(MRI)

 

(2) 北米の海洋開発の基本姿勢

 

1] 第一義的には比較的ローカリティに根ざした研究開発を行っている。すなわち、区域の特性を活かそうとしている。

・NOAAの所掌分担 : 西海岸、ハワイ、北部太平洋、五大湖、中部大西洋、メキシコ湾。

・ハワイ州政府独自のプロジェクトを実施している:深層水利用など。

2] 海洋開発に関しても経済活動重視の視点が明確である。

・健全な水産資源を築くために研究を行う。重点課題はバイオと水産である。

(NOAA/NURP)

・海洋技術の医療技術への転用を図る。

・軍事技術の民間技術移転政策を押し進める。

・海の知識の産業界への拡大を目指す。(スクリプス研究所)

 

 

 

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