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5-3-2. 試験結果

高温高圧容器の内部空気を5MPaで773K、1073Kとした条件下で容器内に噴射して、それぞれの燃料の着火遅れ期間を計測した結果を表-6に示す。各燃料の着火遅れ期間はまったく同じであり、廃食用油のセタン価は軽油、重油と同じであることがわかった。

容器内の空気温度773Kでの軽油の自由噴霧は着火遅れ期間中に噴霧外周部に薄い領域が増加し、噴霧内への空気導入が活発に行われていることがわかった。初期火炎は噴霧長手方向のほぼ中央部に観察された。その後、火炎は噴霧先端に向けて成長し全体に広がるが、火炎の外周には常に不輝炎が観察される。噴霧の根元から消炎し、最後に噴霧先端が消炎した。A重油の場合は着火遅れ期間、燃焼プロセスともに軽油と同じとなり、両者に差異は認められなかった。廃食用油の着火遅れ期間は軽油と同じであった。着火遅れ期間中に噴霧外周に希薄な部分は観察されなかった。初期化炎は軽油の場合と同様で噴霧長手方向のほぼ中央部に生じ、噴霧外周を覆いながら火炎先端に向けて発達した。火炎外周に不輝炎は観察されず、火炎の随所に暗い部分が存在し煤、または未燃部分が多く存在していることが観察された。このことより廃食用油の自由噴霧火炎では噴霧や火炎への空気導入が悪化していることがわかった。

容器内部の空気温度が1073Kでの軽油の自由噴霧は、着火遅れ期間が極めて短くなり、初期化炎は噴霧の根元で観察された。その後、火炎は噴霧先端に向かって噴霧全体を覆うように発達する。この間、噴霧外周、火炎外周ともに不輝炎は観察されなかった。火炎内に明確な輝度の分布や黒い部分の生成は認められなかった。着火後の燃焼期間は773Kでの燃焼とほぼ同じ期間であった。噴霧の根元より消炎し、噴霧先端へ消炎部は移行した。A重油の場合、軽油との間に差異は見られなかった。廃食用油の場合、着火遅れ期間は軽油、重油の場合と同じであり3種の燃料のセタン価は同一であることがわかった。初期化炎は軽油の場合と同じ噴霧根元であり、火炎は噴霧先端へと移行する。噴霧外周、火炎外周に不輝炎の生成は認められなかった。同一条件での軽油、重油の場合と同じ燃焼プロセスをたどり3種の燃料の間に明確な燃焼形態の差異は無かった。773Kでの廃食用油の燃焼で見られたような暗黄色の部分の生成も見られなかった。

 

表-6 燃料違いでの着火遅れ期間の比較

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