日本財団 図書館


5. 平成11年度研究開発成果報告

 

5-1. 廃食用油の物性調査

廃食用油をディーゼルエンジンの燃料として用いる為の基礎物性を調査した。天麩羅油はCnH2n-1−COOH,CnH2n-3−COOH、n=17を多く含む植物油脂で物性を表-1に示す。発熱量としては軽油、重油等の燃料に比べて単位重量あたりでは3〜6%少ないが比重が大きいため単位体積あたりでは軽油に対し5%多く、A重油とほぼ同等、C重油に対しては8%少ない。即ち、軽油、重油等と同一出力を出す場合の体積燃料流量はほぼ同量であるので燃料タンクの容量を変える必要が無い事がわかる。

廃食用油は粘度が高いため、同一燃料噴射量を得るためには噴射ポンプのプランジャー径を大きくし、噴射ノズルの噴孔径を大きくする必要がある。既成の噴射ポンプと噴射ノズルの組み合わせにて必要な噴射量を得られるかについてリグ試験装置を用いて調査した。結果を別項に示す。また、着火点やセタン価の着火性に関する明確な資料が得られないため、高温高圧の雰囲気内に軽油、A重油、廃食用油を選定した噴射ポンプ、噴射ノズルを用いて噴射し着火性を含む燃焼特性を調査した。結果は別項に示す。

 

表-1 軽油、A重油、食用油の物性比較

007-1.gif

 

5-2. 廃食用油のための噴射系選定

軽油や重油に比較して粘度が高い廃食用油を対象として、エンジンの最大出力を出すために必要な量を噴射することが可能な噴射ポンプ、噴射ノズルの仕様検討を行った。噴射系に要求される特性を表-2に示す。検討の結果、選定した噴射系の仕様を表-3に示す。噴射ノズルの噴孔径は0.28mm、噴孔数は8孔と仮決定した。後日、遮熱エンジンの性能試験結果より最終の噴孔径、噴孔数を決定する。この噴射ノズルの噴孔総面積は軽油燃料を用いる同一排気量のエンジンに比べ約60%大きい。尚、噴射ポンプは量産されている仕様より選定を行った。

選定した噴射ポンプと噴孔径0.28mmの単噴孔ノズルを試作して、軽油と廃食用油を噴射した場合の比較試験を行った。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION