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図B-12 西地域航路の海域別平均航海速度の月変化(25BC、1957〜1990年の平均値)

 

シミュレーションに用いた船の補足解説

40,000DWT型砕氷型バルク・コンテナー

北航路を対象に、喫水12.5mで40,000DWTを確保し、8カ月間単独航行できる砕氷能力を有することを条件に計画した。図B-13にその一般配置図を示す。バルクまたはコンテナーを積載できる所謂、オープンバルカーである。コンテナー搭載時にはハッチを開けて船倉内に825TEU、甲板上に846TEU、合計1671TEUのコンテナーを積むことができる。推進器としては砕氷タンカーLunniにも採用されている電動モーターを格納した容器とプロペラを一体にしたAzipodを2基装着している。モーター、発電機ともに交流でサイクロコンバーターにより回転数を制御する回路を採用している。Azipodの合計出力は28MWである。比較的穏やかな一年氷の中では、船首と船尾が逆になり船尾を先頭にして推進器が船を引張る形で進む船尾モードの砕氷を行う。船尾も効率良く砕氷できるような形状にしてある。Azipodは360°回転することができるので舵を必要としないし、氷中での旋回性が極めて優れているのも特徴である。多年氷の中では、強固な多年氷片がAzipodにあたると損傷する危険性があるので船首を先に前進する通常の船首モードの推進方式をとる。穏やかな一年氷の中だけ航行する船舶であれば、船首側をバルブ付きの平水中船首とし平水中の性能を向上させるDAS(Double Acting Azipod Ship)と呼ばれる概念を導入することができるが、多年氷が多い東NSRを航行する本船では採用していない。砕氷能力は氷海水槽試験を行い確認した。船尾モードでは1.8mの平坦氷を船速1.0m/secで、船首モードでは1.2mの平坦氷を船速1.0m/secで各々砕氷することができる。リッジ突破時には、船尾モードではAzipodを左右に旋回させリッジキール部の氷片を水流で飛ばすことにより排除し、かつリッジ下方の圧力が低下することによりリッジを沈み込ませることで連続的に前進することができる。試験ではキール深さ約15〜20mに相当する一年リッジを進むことができる。通常の船首モードではキール深さ15mのリッジを突破するために3回のラミングを必要とする。平水中は発電機2台(氷中は4台)で運転し、出力15.8MWにて15%シーマージンを見て、速力は14.5ノットである。

 

 

 

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