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●サブ・プログラムI:北極海の自然条件と氷海航行技術

●サブ・プログラムII:北極海航路啓開が自然、生態系及び社会環境に及ぼす影響評価

●サブ・プログラムIII:北極海航路の経済性評価

●サブ・プログラムIV:北極海航路啓開に関る政治的・法制的背景

これらの個別研究課題成果は、一旦、DISCUSSION PAPERとしてINSROP事務局FNIへ提出され、INSROP関係者以外の専門家によって審査、評価され、文章上、表現上の手直しを含め修正後、審査委員及び著者のコメントを付して、INSROP WORKING PAPERとして出版、公表された。

また、Phase Iにおける個別的研究成果は、日本財団の支援を得て、各専門分野の国際的権威を座長に迎えて、1995年10月、東京において開催された国際シンポジウムIST '95, "Northern Sea Route; Future and Perspective" にて発表され関心を呼んだ。

1996年8月には、Murmansk Shipping Co.所属の砕氷貨物船Kandalaksha号によるNSR実船航海試験が行われ、驚異的な短期間にて横浜・キルキネス(ノルウェー)間を無事航行し、航路の有効性の確認、今後の問題点の検討の他、北極海そのものの理解を深めた。

国際評価委員会の勧告に基づくINSROP Phase II計画は、事業年度を1997、1998の2年度とし、この間

●Phase I事業の補足

●INSROP事業成果の統合と集大成

●地理的情報システムINSROP GISの補充と普及

●航行シミュレーションによるNSR運航評価

が行なわれた。

INSROP事業成果の統合と集大成は、日本、ノルウェー、ロシア3国の編集者3名によって編集され、INSROP Working Paper No.167, "The Challenges of the Northern Sea Route-Interplay between Natural and Societal Factors"として刊行された。12名の著者が下記の各章をそれぞれ担当し、関係分野でのINSROP成果の取りまとめを行った。

1. 北極海航路の歴史的、地政学的意味

2. 自然条件、氷海航行及び造船技術

3. 環境影響評価

4. 経済性評価

5. 戦略、政治、法制、及び先住民族問題

6. NSRの多様な現実:運航上の問題個所

INSROP GISは少なくとも関係分野で既存あるいは開発中のものに比して、優れた内容を持つものと評価できるが、致命的なデータの欠落部分もあり、これらが、今後の国際協力研究によって早急に補填されることを望みたい。

NSR航行シミュレーションは、内外の専門家を集め、グループ組識として研究を実施し、NSR用船舶の概念設計を行い、概念設計船舶をパソコン上で走らせて運航経済性を運航モード毎に吟味したものであり、航路選択、航路沿いの海域区分、区分海域毎の氷況、航行支援体制、輸送貨物・荷動き予測、環境影響、科料及び関係法制等を考慮した。

 

 

 

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