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北極海航路?東アジアとヨーロッパを結ぶ最短の海の道?

 事業名 北極海航路開発調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


通常船舶の運航に際して保険は必要不可欠な項目であり、保険業界の必要とする諸資料を呈示した上で、関係インフラストラクチャー、航行支援システム、関係法制、科料システムについて保険業界の意見を参考にしつり整備を急ぐべきである。

保険業界の仕組み、体質を考慮すれば、NSR保険の将来を具体的に検討するために最も有効な手法は、ロシア外船舶による試験的NSR商業運航を実施することであることは言うまでもない。

 

6.5 自然・生物環境

 

(1) 自然環境

自然環境については、INSROP事業を通じて、ロシア側から相当量のデータ開示があり、自然科学分野での観測資料を補填し、少なくとも北極海航路周辺の自然状況については、理解を深めることができた。しかし、総体的には、古典的な観測技術による観測結果故に、計測個所及び連続量としての計測結果が殆どなく、特にNSRの東半分の海域については、厳しい自然条件の故に、特に冬季を中心とする期間の資料の欠落が著しい。

夏季の運航のみを検討する場合には、これら資料の不足が決定的な障害となる懸念は少ないが、夏季運航期間の延長等を検討する段となれば、資料不足の欠陥がクローズ・アップされよう。人工衛星ベースのリモートセンシングには、解像度、測定範囲等に問題が残っており、最適航行レベルの氷況等データを確実に供給し得る段階までには至っていない。リモートセンシング技術の活用については、明るい近未来が期待できるが、リモートセンシングとシー・トルース・データとの整合は必要であり、今後、国際協力により、これらの観測が鋭意行われることが望まれる。これらの観測結果は、NSR運航上のデータとしてのみならず、地球・海洋の深い理解、地球規模での環境保全など幅広い分野での活用が考えられる。

GISは、現状では過去の統計データを活用する方向で調えられているが、気象、氷況等の自然情報についても、リアルタイムあるいは準リアルタイム・データとのやり取りが容易なダイナミック・アトラスに進化させる必要がある。

 

(2) 生物環境

北極海域における海洋生物の生熊系は、最も調査、研究が遅れている分野である。要観測・調査海域が広大であること、厳しい自然環境によって調査が困難を極めること、それ故に調査経費が高額となること、調査に多くの時間を要し高効率の調査が難しいこと、などがその理由として挙げられよう。

生態系調査は、食餌連鎖を含め、時間的な因子が重要となるものであり、時間的にも空間的にも広域調査と局所調査の有機的連携作業などが必須であり、INSROP事業のスケールで完遂できるものではない。従って、INSROPでは、生態系の指標となる生物種を選定し、NSR航行船舶が、騒音障害を含めての大気、海洋空間に対する影響、あるいは汚染の影響を従来資料を活用しつつ、多くの制約の中で評価したものである。従って、このような評価手法によってNSR船舶の運航により生態系に見るべき影響ありとの結論が導かれたとすれば、NSR船舶の運航はかなりの制約を受け、場合によっては、既にあるサンクチュアリに加えて、通航を禁ずる海域指定を行う必要がでることになる。幸い、INSROPにおける調査結果は、騒音障害を含め生態系への影響は殆ど無視できるとの結論ではあるが、船舶の運航がもたらす微量汚染や、繁殖行動への影響など、十分な時間を掛けての調査結果を待たねばならないものも少なくなく、今後の慎重な調査、資料蓄積が肝要である。

 

 

 

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