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仮説は表4.5-4に示したNSRを通る船舶の個々の活動(Specific Activity)と関連づけられており、活動によって各VECに生じる影響を示す概念図が各仮説に対して作成されている。

A:影響仮説が無効と判断されるもの。

B:影響仮説は有効であり、すでに実証されており、更に研究を必要としないもの。

C:影響仮説は有効であると考えられるが、更に仮説の妥当性を検討するために調査、モニターが必要なもの。

D:仮説は有効であるが、影響が小さく検討の必要がないもの。

などに各影響仮説は分類できるが、Aが4、Dが14、Bが14、Cが27であり、B、Cと評価された41の影響仮説が影響解析のベースになるものである。事例として、コンテナー船が夏期にNSRを航行するケースについて、VECであるBenthic Invertebrates(底性無脊椎動物)、Marine estuaries and anadromous fish(河口及び遡河魚)に対して検討された影響仮説(Impact Hypotheses)の事例を表4.5-5に示す。

生物の脆弱性に対する定性的な評価法や環境評価の半定量的方法として、種々の手法が提案されているが、これらの方法を環境評価計画システム(Environmental Assessment & Planning System)として運用する場合はデータの緻密さが問題となる。一般的には、高精度のデータがある場合は半定量的な方法が、一方、そうでない場合は、定性的な評価法が用いられる。図4.5-5に環境評価計画システムの流れと原理を示す。影響評価を調べ、その重要度を算定する方法としてESSA法と呼ばれる手法が適用された。この方法は潜在的な影響レベル(Potential Impact Level)を評価するスケールとして、空間的スケール(Spatial Scale)、時間的スケール(Time Scale)、撹乱度(Perturbation Magnitude)の3項目を選び、各々の項目に対して3段階の点数を付与するもので、最高点は3項目を掛け合わせた27点になる(表4.5-6)。

更に、評価した点数を3段階に分類し、各VECに対して、潜在的な影響レベルをLow、Medium、Highの3段階に評価するものである。事例としてINSROP GISを適用し、VECの一つであるIvory GullがImpact Factorである航行時のNoiseとDisturbanceから受ける潜在的な影響レベル(Potential Impact Level)を評価した事例を示す(図4.5-6)。INSROPGISのデータは定量性に欠けるものが多く、相対的に分布を提示したものが多く、表4.5-6に示すような定量的評価が困難な場合が多い。

 

表4.5-6 潜在的な影響レベル(Potential Impact Level)を評価するスケール

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