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また、この他の船級協会あるいは政府機関によって制定された砕氷規則についても、砕氷クラスの設定等に規則間で大きな違いがある。

このように、氷海船舶に関する船級規則は、耐氷船舶については船級規則の間にある程度の整合性があるとはいえ、基本的には各船級協会が独自の規則を持っている。このような現状に鑑み、現在、極域を航行する船舶に関する各種規則・規制の統一化の動きが進められつつある(Karaminas,1999)。この動きの背景にはNSRの開放の影響が大きい。すなわち、NSRの国際的商業航路としての本格的利用は、船籍の異なる不特定多数の船舶の航行を意味し、これらの船舶の安全性を統一的に評価するための規則が必要となる。この統一化の検討のため、カナダ、ロシア、フィンランド、アメリカ等の関係者から成る作業部会が形成され、1993年からの協議を経て、1998年"The International Code of Safety for Ships in Polar Waters(Polar Code)"の原案が国際海事機関(International Maritime Organization:IMO)に提案された。この原案によればPolar Codeは、建造要件、装備、運航と多岐にわたる内容となっている。本コードでは現在の耐氷・砕氷船及びこれらをさらに分類する各クラスを統一して、Polar Class(PC)1から7までに分類する(表4.1-2)。これらの各Polar Classに対しては、それぞれに該当する船舶が航行できる氷況及び季節が与えられる。Polar Codeでは砕氷・耐氷の区別は行わないが、現規則との対応については、おおまかに言えば、PC1からPC5が砕氷船に、PC6及びPC7が耐氷規則上位の船舶にそれぞれ対応すると言えよう。また、本コードでは、地形により多少の出入りはあるが、基本的に北緯60度以北の海域はPolar Seasとしてその対象海域とされることから、NSRを航行する船舶は本コードの適用を受けることとなる。なお、原案の段階ではPolar Codeは強制コードとはしないこととなっている。

Polar CodeはIMOによる採択を目指して、原案についての議論が現在も続けられている。また、コード内の船体構造及び機関に関する建造規則については、Polar Code本体についての検討に並行して、国際船級協会(International Association of Classification Societies:IACS)によりURs(Unified Requirements)として取りまとめられる予定である。ただし、原案ではPolar Codeの対象海域とされていた南緯60度以南の南極周辺の海域を非対象とする動きが起こるなど(Karaminas,1999)、IMOによる最終的採択に向けては、関係政府・機関間の見解の調整が今後ともなお必要であろう。

 

表4.1-2 Polar CodeにおけるPolar Classの定義

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