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3.1.3 オーロラと磁気嵐

 

オーロラは、ローマ神話の曙の女神アウロラであり、夜の暗さを追い払い人々の生活を夜明けに導く女神の名前であるが、極光(北極光)の別名として使われるようになった。

太陽表面でフレアーと呼ばれる爆発やコロナの大規模な放出が起こると、超音速の太陽風が吹き出す。それは電離した水素ガス、すなわち陽子と電子であり、プラズマと呼ばれる高速荷電粒子である。太陽風は、太陽と地球の距離約1億5千万kmを3日位で吹き抜け、地球の近くでは秒速約450kmの速度を持つ。地球には磁場があるため、太陽風は磁場を横切って地表に到達することができない。地球と磁場とを包み込んだ磁気圏を作り、地球磁場を彗星の尾のような形に変形させながら、その外側を吹き抜ける。太陽風と磁気圏の相互作用は、発電機を形成して1千億ワット以上の大電力を発生する。この電流によってプラズマが地球の背後から磁力線に沿って南北両極域に導かれてオーロラを発生させる。

オーロラは地上80km以上の超高層で起こる。この高度はネオン管の中と同程度の真空状態であり、太陽からのプラズマによって超高層大気の酸素原子や窒素分子が励起されて生じる、ネオン管と同じ放電発光現象である。最も一般的で最も明るい緑白色のオーロラは、地上約110km付近の超高層での酸素原子の発光によるものである。酸素原子は、地上400km付近でも暗赤色の光を出し、赤いオーロラと呼ばれる。電離した窒素分子は90〜150kmで青い色を、中性の窒素分子は90km前後の低いところでピンク色の光を発する。それゆえ、背の高いカーテン型オーロラは上部は赤、中央部が緑と青、下部が赤紫とピンクといった多彩な姿となる。

オーロラが発生するのは、地磁気北極(78.6°N,70.5°W)を中心とする地磁気緯度で65〜70゜のオーロラ帯と呼ばれる領域である。南極昭和基地とアイスランドは共にオーロラ帯の下にあり、しかも磁力線を共有しているので、似たようなオーロラが両方で同時に発生する。渦巻きの形が鏡に映したように逆向きになるオーロラが現れることがあるが、あまり似ていないオーロラが現れることも多い。

 

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北極のオーロラ

 

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南極のオーロラ(渦巻きの形が逆)

(写真:国立極地研究所)

 

 

 

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