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北極海航路?東アジアとヨーロッパを結ぶ最短の海の道?

 事業名 北極海航路開発調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


ロシアは世界有数の資源国である。ロシア工業製品による外貨獲得が難しいものであれば、ロシア、特にシベリア各地に賦存する天然資源を輸出若しくは一次加工の後輸出によって経済復調を目論むことは自然の発想である。一方で、ロシアの貴重な資源を諸外国に食い荒らされることへの反感、危惧が、次第に表面化しつつあった。また先住民社会が点在するシベリアでは、資源の開発、輸送が先住民の生活環境を根本から破壊する恐れありとしての反対運動や、先住民の権利がロシア法制によって完全に保護されねばならないとの主張も強くなっている。代表的な資源開発域であるオビ・エニセイ・レナ川周辺は、これらの先住民問題と外国資本の投資待ちなどのネガティブな面と、地域住民に対する生活物資の安定供給確保などのポジティブな面とがあり、加えて連邦政府及び地方政府の思惑、地域住民の期待と不安など、三者三様であり、局域海上輸送路を有機的に結ぶ北極海航路への期待は必ずしも単純ではない。

ロシアへの外国からの投資は乱高下し、確かな予測は難しいが、安定した税制の確立が果たされれば、増大基調であることは間違いない。ロシア政府の為替管理は、諸外国に比してかなりルーズであり、不法な資本流出も経済復調の妨げとなっている。イズベスチヤ紙(1997年6月)によれば、ロシアからの不法な資本流出は年間120〜150億ドルにも上り、石油や非鉄金属などの輸出で得た外資がロシアへ還流することなく西欧諸国や租税避難地へ流出している。ロシアの対外貿易収支は1992から97年までの間は黒字であるが、このような黒字額のかなりの部分がロシアへ円滑に流入していないことが問題である。

ニューリッチの登場に象徴される階級層の分化、所得格差の拡大が進み、とりわけ年金生活者の貧しい暮らし振りが海外に喧伝されているが、ロシア国外での深刻な印象とは異なり、一方では、大都市中心ではあるが消費物資や食料品が次第に豊かになり、これらの主たる購買者、いわゆる中間層が形成されつつある。ロシア貿易では、第三国市場を経由しての輸出入がかなりの量に達し、乗用車、事務機器等の購買力は確実に増大している。このようなロシア経済の回復兆候は正しく認識されるべきであろう。

 

経済の悪化は、本来市場経済への移行によって最も恩恵を受ける筈であった海運にも当然のことながら大打撃を与えた。ロシア管轄海域を東西に二分して管轄権、運営権を与えられたムルマンスク及び極東の2大船舶公社は、ロシア総生産量の激減、貿易量の減少、戦略物資輸送量の激減、経済困難によるロシア僻地への生活資材輸送の減量あるいは停止等の悪条件下で民営化が行われ、大小幾つかの海運会社が創設された。国際的な海運情勢は長らく芳しくなく、厳しい合理化、軽量化策が講ぜられる最中でのロシア海運会社創設であり、その経営はいずれも厳しく、かつ確たる立て直しのシナリオを持たず、正しく前途多難の誕生であり、港には係留船舶が溢れることとなった。

北極海航路に関しては、輸送責務をムルマンスク海運会社と極東海運会社が東西に分割して担うシナリオには変わりはないが、それぞれが市場原理に基づく運営となれば、極東市場に比して、遥かに有利な市場を抱えるムルマンスク海運会社の発言権が次第に強まることは否めない。ムルマンスク海運会社にしても、運用を委ねられた原子力砕氷船の運用経費政府負担の公約が反古となっていることから、収入見込みの確かな砕氷船運航の機会を如何にして増やすかが問題となっている。

 

 

 

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