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■3年間の基礎調査のまとめ

 

「なぎさ海道基礎調査」は、3年にわたり総延長1,500kmと言われる大阪湾沿岸域のなかから「大阪湾の現在」を代表する地域を取り上げ、現地調査を中心に、水際線の延長にして約220kmにわたり行ったものである。

この調査の特徴は、海辺と人々の営みの状況を各地の様々な取り組みを通して見ることにより、海と人との豊かな関係を再構築するための可能性を発見していこうとしたところにある。

調査の結果見えてきたことは、地域によって取り組みかたは様々であるが、海辺・水辺をかけがえのないものと考え行動する人々の存在と活動が、各地で確実に広がってきているということである。それらの動きはまだささやかで、また互いに連携・交流するまでには至っていないものも多いが、環境への関心の高まり・動きの広がりとともに、なぎさ海道実現の大きな力となっていくと思われる。

また一方、これらの動きと地域の独自性を生かした環境整備や産業・経済活性化との接点をが見いだせないまま、様々な施策が進められているものも多く見受けられる。由良・生石研究村の取り組みに代表される、住民とともに行動しつつ、漁業・海辺環境・研究・暮らしを多角的に結び、地域の海辺の問題から大阪湾の未来を考える新たな取り組みに注目したい。

このような未来を見据えた「人と海との豊かな関係」をつくりだすことが、それぞれの地域の力を生かすことにつながることを、この調査結果は示していると言えよう。そしてまた、「なぎさ海道」実現のためには、このような動きがさらに「なぎさ海道ムーブメント」として連携していくことが望ましい。

生活、地域、産業全般にわたり新たな可能性を創造するためには、以下の2点が重要なポイントである。

 

1 人々は近未来において「なぎさ海道」の多様な環境とどのように関わるのか

2 住民参加のもと、まずできるところから新しい発想で着手していく

─行動しつつ計画する

 

では具体的に、何をどのように進めていく必要があるのか。大きくは3つのテーマを次ページに示した。

 

 

 

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