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油回収装置の回収方式は、吸引式、付着式、導入式及び各方式の混合方式があり、その適応性は油回収時の低粘度適合型の回収方式で判断する。

スキマーの使用法は、流出油回収法に準じて使用することとなる。

 

(5) 分散処理

分散処理は、攪拌分散(消火放水、航走拡散、自然拡散)により流出物質の蒸発面積を大きくし蒸発を促進させ大気中または水中に希釈拡散させるものである。

この場合、ガスの急激な蒸発によって一時的に危険性ガスが増加する可能性があるので、周辺海域への影響、特に沿岸居住地域への十分な配慮が必要となり、ガスの漂流範囲は常に監視されなければならない。

油処理剤による乳化分散は物質を細粒子化して水中に分散させることとなり一時的に水質の悪化をもたらすこととなる。従って油処理剤の使用は長期間水面に滞留し毒性の低い蓄積性のない物質の処理に限定される。(基本的には使用しない。)

 

(6) 回収物質の最終処分

回収した物質は、作業船上で処分することは困難なので陸揚げ後適当な施設で処分する必要がある。

処分方法としては、回収物質の特性に適したろ過、炭素吸着、濃縮、中和等の方法が考えられるが、我が国においては有害液体物質専用処理施設は未整備の状況であるため、これらの処理技術・施設を有する会社等に処分を依頼することとなる。

 

(7) その他の資材

1]泡消火薬剤

揮発性の強いガソリン等の軽質油の上面に泡消火薬剤を散布し、ガスの蒸発を抑止する方法は効果的である。

次図のとおり、流出初期の爆発下限界を超えるガス濃度は、泡消火薬剤を散布することにより最高濃度でも爆発下限界の40%程度にガス濃度を押さえることができる。

一方、化学物質に対する泡消火薬剤の揮発抑止効果については、水成膜泡剤(ライトウォーター)を使用した場合、酸性、アルカリ性の強い無機物質及び水溶性の有機物質を除く物質に対しては有効である。(米コーストガード研究による。)

ただし、使用法については、一定区域に物質が保持されている(オイルフェンス等により)ことが必要であり、漂流あるいは拡散物質に散布しても効果は得られない。

2]人身保護・安全装具

防除作業に従事する作業員の安全を確保するため、ガス検知器、呼吸具、保護衣等の防護安全装具が準備されていなければならない。

装備は、物質の危険性の種類、程度に応じ全ての条件に適応できる種類、数量が確保されていなければならない。

 

 

 

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