第三章 防除作業
1. 防除作業の一般的留意事項
流出有害液体物質の防除措置に当たっては、次の事項に留意しなくてはならない。
(1) 物質の確認
有害液体物質の流出事故が発生した場合、まず流出物質の名称を正確に確認することが重要であり、更に次のその性状について確認するとともに十分理解することが必要である。
1]物理的・化学的特性
2]火災爆発の危険性
3]対環境毒性
(2) 厳重な火気管理及び防護資機材
火災・爆発の危険性又は人体に対する毒性が少しでも存在するならば、まず厳重な火気管理(静電防止対策等を含む)を講じ、防爆型構造の作業船があれば使用する。
更に、外気に曝される人間には、呼吸器具及び防毒衣等の保護具を着装させなくてはならない。
(3) 物質の測定
有害液体物質の大部分は蒸気を発生するので次の2種類についてガスの測定を行わなくてはならない。
1]可燃性ガスの検知
2]有毒性ガスの検知
(4) 防除作業従事者の安全を図る。
1]防除すべき化学物質によって惹き起こされる初期症状を熟知し、自分の状態をチェック(自己診断)できること。
2]中毒状態の処置のできる医師又は医療機関を確保し、そこに速やかに搬送する手段を保持すること。
3]応急処置は、ごく簡単なものを心得ていること。応急処置といえども、可能な限り医療担当者の指導のもとに行うことが望ましい。
さらに、応急処置の医療についても知識を持っていることが望ましい。
(5) 早期対応
有害液体物質の多くは、蒸発揮散と水中溶解を伴いながら水面を急速に拡散する。流出源からの流出状況、程度により拡散状況は異なるが、その対応の遅速が汚染の規模を拡大させる結果にもなり得るものである。
従って、防除作業面においては、事故の態様に応じた防除処理方針をあらかじめ立てておき、事故発生時は直ちに所要の措置を講じることが必要である。