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4. 油処理剤の使用マニュアル

 

(1) 油処理剤散布海域の最低要件

油流出事故における油処理剤の性能について、定量的なデータはほとんどないが、近年では、油流出試験を通じて相当量のデータが蓄積されてきている。

1978年(昭和53年)米国石油協会及び環境保護庁が、米国東海岸で試験を行っているが、これによると、油処理剤で処理された油は、時に最大で水面下10mの所まで分布するようであるが、水深が1m以深の水中では油分量が小さくなっている。すなわち、油処理剤で処理された油は、主として水の表層部分、つまり、水面に非常に近い部分に集中的に存在し、水量が十分な場合は、短時間のうちにバックグラウンド濃度まで希釈される。

 

表−1 米国東海岸における試験結果

(マーバン原油の乳化分散)

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1996年(平成8年)に、新型油処理剤(当センターとタイホー工業?が共同開発したもの−開発番号D-1128、詳細は(2)参照)の公開試験の際に行った垂直拡散試験では、肉眼による観察ではあるが、油処理剤で処理された油は、水面下約3.5mまで拡散した(写真−1〜写真−3参照)。

 

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写真−1 新型油処理剤で処理された油の垂直拡散状況

(Dの観測窓の中央付近(約3.5m)まで垂直拡散している。)

 

 

 

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