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第三次海洋法会議の審議を通じて生まれた海洋の枠組みは、地理的枠組みにおいて全ての人間の活動を管理しようとするものである。海洋は広大な枠組みであり、陸上と比較して相互作用の関係は弱い。しかし、依然として海洋を利用する者は、物理的な共用に関して陸上と同様に利害が対立するものである。第三次海洋法会議を通じて出現したのは、単なる資源のための枠組みではなく、海洋の利用者全てのための多様な枠組みであった。資源の配分と管理は交渉において最も重要な議題であったが、その他に、代表団は、しばしば海洋の利用者間で生じてきた古典的な紛争解決のための努力の大切さを想起していた。私的にせよ、公共利益のためにせよ、特定の海洋の利用者のために成果を出すことは、殆ど不可能であったのである。

 

III 討議された枠組み

 

第三次海洋法会議の結果、一つだけ明確になったことがある。それは、第三次海洋法会議の交渉団は、グロチウス学派の航海の自由の概念及び海洋資源を共同の財産として無制限にこれを利用する権利を許容することは将来ともないということである。たとえ国連海洋法条約の枠組みにおいて海洋の自由な使用は依然重要な部分として残ったにせよ、もはや僅少な資源を利用する権利に関する概念は採用されなくなったのである。

 

 

 

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