日本財団 図書館


以下にタイ造船業の現状の概況を説明する。

1. タイ国内では約200の造船所が登録されているが、その約80%は能力が100GRT未満である。年間建造量は34,500GRT。最大の船型は4,000GRTである。年間修繕能力は210万GRTで、修繕可能な最大船型は140,000DWTとなっている。

1997-99年の造船所の生産量

113-1.gif

出所:タイ造船工業会

注:*木造艇を含まず。

2. タイ造船業発展の歩みは遅い。造船所の大半は河畔に設置されている。そのため拡張の余地が少ない、水路の水深が浅い、航路から離れているなどの制約を負っている。

3. 大抵の造船所は小規模で、事業活動は政府機関からの新造船受注や、特殊機能の小型艇に限られている。

4. 修繕船事業についていえば、規模や事業範囲の拡大、価格競争力の強化などがあったもの、発展の過程でハイテクの活用に欠け、納期についても顧客の要請に応えていない。

5. 造船所の多くは設備、特に大型船に対応可能な機器の不足に悩み、そのため生産性も低水準にとどまっている。

6. 造船産業に対する関連工業からの支援が乏しい。資機材の約80%を輸入に依存している。そのため利益率が低く、また納期も不安定である。

7. 造船産業は船舶設計、建造工法に関する技術が遅れている。造船業における研究開発活動はほとんど皆無に近い。

8. タイの造船所は国際市場向けの商船建造では競争力が不足している。

3. タイ造船産業の構造革新と将来展望

近年では、政府の新造船発注が減少したので、タイ国内の各造船所は、国の安全保障にとって死活的に重要な造船産業の基盤を維持するとともに、不足する官公庁需要を補い、安定した工事量を確保するために、商船/特殊船分野に進出しなければならない。この構造改善は、国防ないし官公庁向けから商船/特殊船建造への転換を図る決意を実現しようとする努力なしには達成できないものである。

これが昨年10月に運輸通信省が承認した、海事産業開発マスター・プランにおける造船産業発展戦略の背景をなす状況である。この戦略は特殊船(タグ、浚渫船、哨戒艇、漁船、バージ等)と10,000DWT未満の貨物船に重点を置いている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION