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1. 調査・研究の目的と概要

 

1-1 調査・研究の目的

 

平成9年度の運輸省作成による船員災害疾病発生状況報告(船員法第111条)集計表によると、国内の旅客船を含む内航船の乗組員数は32,851人で、汽船全乗組員41,671人の79%を占めており、汽船の主流を占めている。一方、内航船の死傷災害(以下、災害という。)の休業3日以上の人数は、汽船全体の被災者の94%となる458人、乗組員千人当たりの災害発生率では13.9と高い率を示しており、汽船の船員災害を防止し、その改善の実を挙げるには、内航船での実効のある対策を更に推進していくことが必要である。(表1-1参照)

 

表1-1 平成9年度汽船乗組員数と災害(休業3日以上)の発生状況

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災害は、人的要因(ヒューマンエラー)である慣れや錯誤、または手抜きなどの不注意によるものが少なくないが、人間の不注意は避け難いのも事実であり、また、不安全な状態への人間の適応力を過大に期待しない対策が必要である。

このような観点から、人的要因による災害をなくすための実効のある対策の一つとして、『内航船で災害が多発している作業の標準化』、具体的には、対象作業のマニュアル等を作成する場合の留意事項及び参考事項を取りまとめることを目的とした調査研究を行う。

汽船で災害が多発している作業は、平成5年度から平成9年度迄の5年間における集計(表1-2参照)によると、整備・管理作業、荷役作業(荷役の準備・後片付けを含む。)、次いで出入港作業(出入港作業の準備・後片付けを含む。)の順となっており、内航船において災害が多発している作業でもあるが、災害が最も多く発生している整備・管理作業は、機器・器具の整備・修理及び船内の清掃・片付け・塗装と多岐に亘る作業の集合体である。

 

 

 

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