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ま え が き

 

船員の死傷災害は近年、漸次減少の傾向にあり、平成9年度と10年前の昭和62年度との比較では、発生率で約30%の減少となっています。しかしながら、船種別でみますと、汽船の乗組員総数の80%を占めている内航船の死傷災害の発生率は、外航船に比べて出入港や荷役の頻度が高いこともあって、乗組員千人当たり約14人の被災者と高い発生率を示しています。特に出入港作業と荷役作業中の死傷災害は、いずれも全件数の20%乃至30%となっており、両作業中の死傷災害をいかにして防止するか、その対策の推進が強く望まれています。

死傷災害は、人的要因(ヒューマンエラー)によるものが少なくありませんが、慣れや錯誤、また、手抜きなどによる人間の不注意は、避けられないのが現実といっても過言ではありません。このような人的要因による死傷災害をなくすことを目的として当協会では、運輸省策定の第7次船員災害防止基本計画及び年次の船員災害防止実施計画に基づく事業として、平成9年度より、「作業の標準化」に取り組んでいます。

その一環として平成11年度では、「内航船の出入港及び荷役作業の標準化」を採り上げ、学識経験者並びに内航大型船輸送海運組合、全国海運組合連合会、全国内航タンカー海運組合、全国内航輸送海運組合及び全日本内航船主海運組合からご推薦を頂いた委員による委員会を設けて、船員災害疾病発生状況報告の分析及び実船調査による調査研究を行い、当報告を取り纏めました。当報告書をもとに平成12年度では、内航船の死傷災害を防止するための小冊子を作成する予定にしておりますので、関係各位のご意見を頂ければ幸いです。

当報告書の作成に当りまして、ご指導頂いた運輸省、また乗船調査の機会を与えて頂きました各社並びにご協力を頂きました委員の皆様に、厚く御礼申し上げます。

 

平成12年2月

船員災害防止協会

 

 

 

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