日本財団 図書館


まさに21世紀への総合科学、一般科学の在り方にとって新しいテーマを与えるものと考えられよう。複雑系の研究にとっては、分化・深化を遂げた既存の科学研究体制からすれば、それは間違いなく広域科学あるいは超領域科学と称すべき存在となるのが必然であろう。

 

3-3-3 モデルの展開・応用

本プロジェクトで提案している分野整理学の一手法としての「立体目次」の考え方は、カテゴライズした象限への項目(分野・事例)点群配置とそれらの相関関係を3DCGで可視化するものであるから、本質的には点群はいかなる性格のものでもかまわない。

したがって、この立体構造の持ち得る特性を引き出し、“検索目次”以外の目的に適用することが可能な状態が存在する。分野整理手法として制作した点群立体配置モデルがどのような展開ポテンシャルを有するか、いくつか事例をあげておく。

 

a 極性付与

球(グローブ)は、前述の通り3本の直交座標をもつが、視覚上便宜的にグローブ内に点群をおくだけであり、基本的には座標軸目盛りは無限大にまで広がっていると考えてよい。また同時に、8つの象限にはめられている大分野、領域など点群にかかわる上位の階層性のものの割り当ても、全くの任意である。

いま、仮りに8象限の南北両半球に相対する2つのペア象限に何らかの意味付けをしてみよう。般論としては一方に正、他方に負の性格を持たせ、コントラストを強調することになろう。対語になりさえすればこの主旨は生きるから、例えば一方に陸上生態系他方に水中生態系をはめ込む、といったこともやり易い。

物事には、自然系であれ人為系であれ、中間的一中庸的なものが存在するのが普通であり、広い意味で連続スペクトル型に両極点を結ぶ構造となっていると考えてよい。それにもかかわらず、人間は「割り切る」ことや「特性によるカテゴリー化」が好きで、大方の分野はそうなっている。そのことがグラフィカルに示せることも、この立体目次手法の一つの特色であり、対極的に象限をとれば、中心寄りに“中間的”分野点が配置され、大変わかり易い。したがって分野点のレイアウト上、任意とはいっても座標値を適切に選ぶことで判り易い表現が生まれる。

1グローブで四つの組ができるから、例えば実態調査で得られた事項分布をそれぞれのグローブにのせて比較すると、グローブ特性つまりターゲットにした事象の特徴が一段と鮮明に表現され、統計グラフと類似の特性“偏向”分布を認識することができる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION