それは、当然あってよい筈のネーミングがなされていない“分野”が見出され、新称が必要となるケースである。例えば、
海洋地理学…地理学
海洋考古学…考古学
等は、大変ポピュラーな分野であり得るのに、今の所分野として成立していない、ということになる。分野の空白域の発掘である。後者の場合水中考古学という、上り一般的な名称の分野があって、海の中の考古学の意で用いられていることが多く、むしろネーミングミスとでも言えようか。
いずれにせよ、海洋科学としてまとまりの分野群を形成させる新分野はまだまだ多く見出せそうである。全体として学問の体系化をめざす必要がよくうかがえる。
3-2-2 海洋科学関連の研究分野
a. 隣接科学分野
海洋という地理上の広がりをもつ研究対象には、多くの接点をもつ地球構成要素群が存在する。例えば、アイテムと分野としては、
気象…気象学
気候…気候学
陸域…陸域学…(仮称)
湖沼…湖沼学
陸水…陸水学
船舶…船舶学
漁業…漁業学
運輸…運輸学
等々である。ただし、これらを隣接と見なすかどうかは、まとめる例のスタンスによることは明白であり、応用分野とか周辺分野のとり方も全く同様である。
b. 応用科学分野
海洋科学は、それ自体、応用分野を多く抱え込んでいるから、応用局面を一つの象限においた分野整理学は有効である。例えば、未利用エネルギーとして海洋の温度差を利用した発電、潮差利用や波浪利用の発電素を考えた場合、海洋科学の応用局面分野として、今後、海洋エネルギー学なる新分野を立てて研究を進めることも可能である。