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2-3-9 海洋生物のCG表現

 

1. 産業利用におけるCGの歴史

コンピューターグラフィックス(CG)が、米国で軍事や航空機関連で使用され始めて既に20年を経ているが、日本では、CGの産業利用が始まったのが12〜13年前である。当時、流体の可視化や衝突解析等、サイエンティフィックビジュアライゼーションとしてのCG利用が本格化すると共に、CFや番組タイトルにCGが使われ始めた。その後バブルを迎え、リゾート開発や都市再開発のための景観シミレーションに巨額の投資をし、さながらゼネコン同士、CG戦争と形容される程盛り上がったものである。あわせて全国津々浦々、博覧会ブームが起こり、展博映像としての大型のCG映像に多額の制作費を投じた。

これらはいずれも“高くて時間をかけていいCG”が基本であり、産業として適正に成り立つものではなかった。なぜなら、年間のコンピューターに要する費用が人件費の数倍にも達し、しかも2〜3年でコンピューターの価値が10分の1になってしまう。実際には、2〜3年で価格が2分の1になり、スピードが5倍になるわけである。

このように、先にスタートした人ほど損をする時代を経て、コンピューターの高性能化、ツールの機能向上そして量産によるダウンサイジング(小型化、低価格化)を迎え、今やCGがパーソナルな時代となった。

この結果、CGがゲームから、CD-ROM、インターネット、そしてTV番組、映画等、様々な分野で利用され始めた。特に、NHKスペシャル「人体」(写真1)で生物CGが放映されてからは、教育用CGが市民権を得て、これを契機に全国の博物館(写真2)や科学館(写真3)で展示用として生物CGが盛んに創られるようになった。更に、“遊びながら学ぶ”をテーマにエデュテインメントソフトとしてCGを主体とした様々なCD-ROMタイトル(写真4)が出版されている。

 

 

 

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