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最後に海洋観測で重要なことは測器類の開発と若手研究者の育成である。我が国は欧米とくらべると海洋科学を教育する場は極めて少なく、研究者の層も薄い。これには現在、一つしかない海洋学部をもっと増やすか、理学部、水産学部の中に海洋関連の講座を増やす必要がある。海洋は宇宙と並ぶビッグサイエンスであるが予算面、人材面でも宇宙に大きく遅れているのが実情である。

 

2-2-7 国連海洋法下での海洋研究

 

1. はじめに

海洋法に関する国際連合条約が公布され、平成8年7月20日から我が国についても効力を生じることになった。これによって我が国は世界第7位の排他的経済水域を有することになったが、一方では従来のような許可や事前通知を必要としない水域は太平洋でも限られるようなった。研究船や調査船の調査ではこれまでは観測点に近い国の領海を考慮に入れて計画を立てればよっかたが、この条約の発効によって外国の内水、領海、群島水域、排他的経済水域または大陸棚において科学的調査を実施する国は、当該調査の計画について沿岸国から同意を得なければならなくなった。このためこれからの海洋研究の手法も海域によっては大きく変えなければならない。

 

2. 船舶を用いた海洋調査

最近では人工衛星による地球規模での水温、クロロフィル量の観測が国内外で盛んに行われているが、現在でも海洋調査の主流は研究船、調査船、練習船など船舶に依存したものがほとんどである。図1に東京大学海洋研究所研究船白鳳丸・淡青丸における観測作業の概要を示した。観測作業は大きく以下の11項目に区分できる。

1)採水作業:

CTD-RMS、各種採水器、ポンプ、現場濾過装置

2)ネット採集作業:

水中を曳網─各種プランクトンネット

海底を曳網─トロール、ドレッジ

3)漁具による生物採集:

篭網、刺網、延縄、トロール

4)海底堆積物採集:

各種コアー、ドレッジ

 

 

 

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