日本財団 図書館


012-1.gif

図I-13 津波の海岸への到着時刻の分布から逆算された1944年の東南海津波の波源。右下に画かれたものは、一日以内(A)および一ヶ月以内(B)に起こった余震の震源の分布範囲(Hatori、1974)。

 

6. 高潮

台風など強い低気圧が通過するとき、気圧の低下による海面の吸い上げ作用や、強風による海水の吹き寄せ作用によって、海面が異常に上昇することがあり、この現象を高潮とよんでいる。日本で記録された最大の高潮は、1959年の伊勢湾台風によって起こされた高潮で、伊勢湾奥の名古屋での通常の潮位からの偏差が、3.4mにも達した(図I-14)。伊勢湾台風は、紀伊半島南端に上陸したときの中心示度が920hP、瞬間風速60m/sという超大型台風であったが、紀伊半島の中軸を北北東に進み、台風の右側の強風帯が伊勢湾上にあり、伊勢湾奥に向かって吹いたこと、台風の進行速度70?/hが伊勢湾での長波の速度にほぼ一致したことによる共鳴作用など、最悪の条件が重なったことが、このような大きな高潮を起こした原因である。

 

7. データ・情報の収集と管理、海洋データセンター

海況情報は、船舶航行や漁業、海洋レジャーにとって欠かせないものであるが、漂流物や油等の汚染物質の漂流予測には不可欠なものである。また、天気予報・長期予報にも海面水温分布等の情報が必要とされる。海洋は巨大な熱容量を持ち、また海水が二酸化炭素等の温室効果ガスを良く吸収する性質を持つことから、気候変動を緩和する働きをしている。地球温暖化を初めとする気候変動を解明するためには、世界の気候システムにおいて大きな役割を果たしている海洋を抜きにして論じることは出来ない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION