日本財団 図書館


008-1.gif

(a)

008-2.gif

(b)

008-3.gif

(c)

 

図I-7 起潮力の仕組み

(天体の引力は、公転運動に基づく遠心力と地球の重心の位置で釣り合っている。しかし、地表で考えると天体に面した地表では、引力は遠心力よりも大きくなり、水面を高めようとする起潮力が働く。また、天体に対して反対側の地表では、遠心力の方が大きくなり、海面を天体がら遠ざけようとする方向に、すなわち、やはり海面を高めようとする力が働く。これが起潮力である。)

 

4. 波浪

風によって海面に起こされる波を波浪というが、風域を離れて波の峯が丸まったものをうねりと呼んでいる。波浪の代表的な高さや、周期を決める要素は風速の他に、風がどの位の距離を吹き抜けたかを示す吹送距離、どの位の期間風が吹きつづけたかを示す吹送時間がある。この3つの要素から大略の波高・周期を予測することが出来る。例えば湾等で向岸までの距離が限られていると、吹送距離がこれを超えることが出来ないから、波高に上限が現れる。洋上を吹く風の分布は複雑で、また時間的にも変化する。現在では電子計算機を駆使して、正確な波浪・うねりの予測モデルが開発されている。

波浪は非常に不規則な形状をしている。精密な観測や数値予測で用いられる波浪の表現は、周波数・方向別のエネルギーを与える2次元スペクトルであるが、一般への通報等にはより簡単な指標が用いられる。それは熟練した観測者の目視波高・目視周期に合致するものとして定められたものであるが、複雑な波浪を単一に波高・周期を持つ波で代表させるもので有義波と呼ばれるもので、天気予報で用いられる波高等はこれである。その定義は20分程度の波浪観測で記録紙に現れる1つずつの波形について、それぞれ波高・周期を読み取る。それを波高の大きなものから順に並べて、大きい方から1/3を選び出し、その波高の平均値、周期の平均値を波高・周期とする波である。(数値モデルで求められた2次元スペクトルについても、それから有義波高・周期を計算して天気予報等で発表される。)重要なことは、定義からも分かるように、有義波は20分程度の間に観測される最大波よりもずっと低い波高を与えることである。統計的に最大波高は有義波波高の約1.8となることが示されている。個々の波を考えるならば、天気予報でいう波高の約2倍の高さを持つ波が時折出現することを忘れてはならない。なお、目視観測の便宜のため、風について風力階級が定められているように、波浪・うねりについても波浪階級・うねり階級が表I-1および表I-2のように定められている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION