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はじめに

 

日本は四方を海に囲まれており、日本の気候は海洋・海流の影響を大きく受けている。また、われわれは水産資源を初めとした多くの恵みを海から受けているし、古くから海を利用した物流はわが国の産業や社会の成り立ちに大きくかかわってきている。近年、人間活動の拡大は海域利用を活発化しており、その範囲は沿岸域から外洋域にも広がりつつある。また潮干狩りから、サーフィング・スキューバダイビング、セイリングからクルージングと海洋レジャーも拡大・多様化している。しかし一方、海洋汚染・海洋環境の破壊等も進行し、重大化しつつあることも忘れてはならない。

日本は海洋国であるとよく言われるが、海洋に関する知識の一般への普及は決して満足すべき状態ではなく、ちょっとした知識さえあれば防げたであろう事故も決して少なくない。海洋情報研究センターの海洋情報室あるいは海上保安庁水路部の「海の相談室」を訪れる方々に接すると、潮汐や波浪、海流等々についても非常に基礎的なものが多い。それ以上に、このような相談室の存在、あるいは海上保安庁水路部の発行している海洋速報や海流推測図等の多くの海洋情報がどれだけ一般に知られているのか疑問に感じられる。例えば、海図が船舶の航行に欠かせないものであることは知られていても、どのような種類がありどこで販売されているのかはあまり知られていない。また、最近開発されてきている電子海図や各種の海岸線・水深図などの情報は、ほとんど周知されていないように思われる。そこで、「海洋利用の手引き」を発刊して、日本近海の海洋特性を要約するとともに、海洋利用に際して利用可能な種々のデータ・情報の所在と入手方法を示すことにする。また、海洋情報研究センターのこの方面の活動と、今までに開発してきた諸種のデータ・プロダクトを紹介しておきたい。

 

平成12年2月15日

海洋情報研究センター所長

永田 豊

 

 

 

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