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北太平洋亜寒帯循環

 

亜寒帯循環データベースの構築と管理

吉岡典哉

(よしおかのりや)

小出挙

(こいでたかし)

高芝利博

(たかしばとしひろ)

永田豊

(ながたゆたか)

 

編集部

筆者:気象庁気候海洋気象部予報官

気象庁観測部調査官

海上保安庁水路部主任海洋情報官

(財)日本水路協会海洋情報研究センター所長

 

データは全ての研究の基礎を与えるものである。亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究でも、データベースの構築と管理が重要な課題として位置づけられている。

 

1. はじめに

連合王国の潮汐の大家、David T.Pugh博士の話では、シャーロック・ホームズの言葉に、“It is a capital mistake to theorise before one has data”というのがある。これは犯罪捜査に関連した言葉であるが、科学研究におけるデータの重要性を述べた言葉と取ることができる。また、ホームズの思考過程として、“A three-pipe problem"というのがあり、パイプで一本目のたばこを吸いながら“What do we know?”について考え、二本目で“What do we need to know”と検討し、三本目で“What should we do about it?”を決定すると言う。データ収集・管理には、すでに何が分かっているのか(どんなデータが集まっているのか、関連する研究やプロジェクトで何を求めているか)の考察が不可欠であり、現状把握から不足するデータを特定して(関連分野・研究の総括を含め)、新たな行動計画(データ収集計画)を立てなければならない。ホームズの指摘する所は、機械的・技術的取扱だけが強調され勝ちな、データの収集・管理の問題において、情報ソースヘの十分な理解と、ユーザーの要求の正確な把握が求められることである。もちろん、データ・情報は、当面の目的だけではなく、より一般的なより広い需要にも応じる一般性がなければならない。また、データ・情報の収集・管理の中には、関係する研究者間の情報・データ交換を助けるツールの提供も含まれる。また、膨大かつ多様化したデータの活用のため、データセットの属性データ(メタデータ)が要求さる。データ・情報の交換には、プロジェクト内の研究者相互間に行われるものと、研究成果を広く一般に報告・公開するものとの2つがある。明確な区分があるわけではないが、前者は研究途上の段階にあるものとして、非公開の形を取ることになる。

 

 

 

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