日本財団 図書館


海洋情報提供事業

 

一般への海洋情報提供の提供を担当するMIRCのサービス部門(海洋情報室)は、MIRCの設立より早く、1990年4月にJODCが管理する海洋情報・データを民間機関・個人向けに提供する組織として日本水路協会の中に設立された。1997年4月のMIRCの発足にともない、それに含まれる機関として再編成されたが、従来からの業務をMIRCのデータ管理システム・検索システムを活用してより効率よく行うと共に、MIRCが開発する高品質なデータプロダクトを一般に提供する窓口としての働きをすることになった。また、従来民間のユーザーに直接提供されてこなかったようなJODCの保有する膨大なデータセット、例えば500 mメッシュの数値水深資料を、一般に提供する役割を果たすことになった。

海洋情報室は、従来からリアルタイムのデータ・情報提供(有料)として、相模湾・伊豆近海海況速報、海洋速報、海流推測図、管区海洋速報、流氷状況図などの画像データを印刷物・ファックス等を通して一般ユーザーに提供してきたが、これらの画像清報を1年毎に纏めてCD-ROMに収めて提供することも開始し、これには一都三県漁海況速報のような他機関の画像資料や衛星表面水温情報についても、一部加工を行った上でCD-ROM提供する試みを行っている。ノンリアルタイムの情報提供としてはすでに、「海洋情報研究センター(MIRC)の概要」で述べたJODCの扱う諸種の情報について、データベースあるいはその加工品を、磁気媒体等を通して提供している。また水温・塩分等の各層要素別の統計、海流ベクトル統計、各種の潮汐・潮流予報の提供を行っている。特に、沿岸開発工事や航行、潮干狩りを含めたレジャー関連から要望の多い潮汐データについては、全国を幾つかの海域に分けて、それぞれの海域での潮汐予測情報を図化表示できるプログラムを開発し、電子潮汐情報(CD-ROM)として提供を行っている。このようなデータプロダクトについては、今後MIRC本体の活動に応じて、より高精度の、またより使い易い形のものを開発して行く予定である。

地圏データに関しては、水深情報として等深線・海岸線データ、底質データ、メッシュ水深統計データ(西部北太平洋について5マイル及び1キロメータメッシュ、日本近海では上述の500 mメッシュ)を提供しているが、膨大な情報量からユーザーが必要とするサブセットの切り出しや要求に応じた処理を施したデータプロダクト、鳥瞰図の作成のような画像化の作業も行っている。また、地圏データの中で、提供希望頻度の高い海域のものについては、「日本近海1000 mメッシュ海底地形デジタルデータ」、「日本近海100 m間隔等深線デジタルデータ」、「統合海岸線デジタルデータ」等をCD-ROM化して提供している。

地磁気、重力や柱状データの提供、音波探査記録、測量原図、旧版海図、空中写真等の画像データの提供も行っている。この他、天文・暦データとして、日出没・月出没時刻表、気圏データとして海上保安庁の船艇や灯台職員による波浪・風等のデータ、これらの統計表も提供物の一部である。2000年1月現在での、MIRCのデータプロダクツ・出版物等のリストを海洋情報注文書の形で、文末に示す。

海洋情報室はまた、JODCの「海の相談室」と協力して、海に関する一般の方の疑問に答えるような普及啓蒙活動も担当しており、相談室が管理している文献・図面の検索複製とその提供も行っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION