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第1章 調査研究の概要

 

1.1 調査研究の目的

現代急速な発展を遂げた電子技術の発達と船舶運航の合理化の要請に伴って、船舶の航海機器がコンピュータ化され、自動化が進んでいる。船舶の航行に不可欠な海図についても、従来必要情報を紙に印刷させたものであったが、電子化が進み、海図記載情報のほか、GPSによる自船の位置やレーダ映像をCRT上に重ね合わせて表示できる電子海図システムが実用化された。電子海図及び電子参考図が本格的に頒布され普及しつつある。

一方、海図と併用して使用される潮汐表や水路誌等の水路書誌についても、電子化への要望が強く、近い将来、気象海象情報、水路誌などの情報を電子海図に取り組むことの検討が進められている。

海図情報に、時々刻々変化しその変化量に注意しなければならない潮汐、潮海流等の海象情報その他の航海支援情報を付加させ統合的効率的利用を図ることが海運のみならず他の各分野からも強く要望されており、船舶の経済計画的運行と安全の確保及び海難防止、また各分野の海洋利用等にとって非常に効果的である。

この研究では、航海に必須で、特にデジタル化が進んでいる海象等の情報を航海用電子海図(ENC)、航海用電子参考図(ERC)等に重畳するための最適システムを開発・研究し、併せて船舶航行の安全・経済的運航に寄与することを目的とする。

 

1.2 調査研究内容の概要

本研究は、電子海図表示装置、電子参考図表示装置及び汎用パソコン画面上にそれぞれ本来の電子海図等の基図情報のみならず航海上の支援情報である潮汐及び潮流等の電子化海象情報等が重畳可能なプログラムを3ヵ年計画で調査、開発・作成する。

本研究の3ヵ年計画の基本概念を図1-1に示す。初年度である平成11年度は、下記の項目について実施した。

(1) 船型別ニーズ、動向調査大中小型船等の船型別に表示内容及び方法、提供・更新の方法などについて、主としてユーザーを対象としてアンケート及び訪問調査により実施する。審議の結果、本年度は主に小型船を対象とする方針とすることとなった。

(2) 小型船用プログラム開発

小型船(漁船、プレジャーボートを含む)用として汎用パソコン(デスク型、ノート型を含む)に、基図情報のほか潮汐及び日出没の航海支援情報の電子化、編集及び重畳表示ができるプログラムを、前項の調査結果を反映させて開発し、PC用航海参考図(PEC: Personal Electronic Reference Chart)を作成する。

 

 

 

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