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ここでdは、(13)で使われる時は、(11)で0にしている。

最終的に、下方接続された、バンドパスフィルターをかけた重力g(x)は、観測された重力g0(x)と以下のように関連づけられる。

G(k)=Go(k)W(k) exp[2πkd]   (14)

このフィルターは図5(中)で示される。水深が空間的に変化し、(14)が強く水深に依存するので、異なったフィルターが1つ1つの格子のセルに適用された。実際は、(14)式を、まず初期値の解として解がdが一定である(1kmの倍数で与えた)として計算した。次に各格子のセルxでの実際のg(x)を、d(x)と、一定のdを用いて計算したものを線形に補間したものを用いて計算した。このようにして、g(x)は、地域的に変化する(regionally)d(x)の上に“もれなく広がった(draped over)”、バンドパスフィルターをかけられた重力場となる。d(x)が地域的に(regionally)(=波長160km以上)にしか変化しないので、一定のdを用いて導かれた理論は局地的に(locally)適用可能であるといえる。

 

逆ネッテルトンプロシージャー

ここまでの処理の後に方程式(1)によって与えられる水深の推定に必要なものは一つを除いてすべて手に入れたことになる。推定するべき水深のすべてはbp(x)である。これはパスバンドにおける推定値S(x)g(x)と長波長領域の値d(x)との和である。したがって解析は未重力補償のバンドに限定されているので、Sの理論値は[2πΓρ]**(-1)とあらわされる。ここで、ρは海水に対する相対的な海洋底の密度である。仮にgとhが理論に従うものとすれば、その時h=Sgである。成すべき事は、gとhとが実際相関を持っているかどうかを決定する事とgからhを推定するSの最も良い値を決定することである。ネッテルトンの示すところによれば、重力のブーゲー補正を実施するための適切な密度は試行錯誤によって得られる。それはブーゲー補正がフリーエアー異常にもっとも似ているように密度を選ぶことである。(訳者注:フリーエアー異常とは海水面で測定される重力異常そのものであるから、この処理が可能である)。

この意味でネッテルトンの密度推定の方法は次のような回帰的方法になっている。すなわち、2πΓρhがgにうまく合うような密度を2πρhに重なるように回帰させる事によって見つけ出そうというものである。したがって、この問題はネッテルトンの問題の逆問題となっている(したがって「逆ネッテルトンプロシージャー」という)。しかしここではきわめて堅牢な(安定した)回帰技術が使える。それは原点を通るという制約条件があるためである。

d(X)と比較して同じようなスペクトルを持つスムーズな関数としてS(X)を求めるために2.5°の経度間隔、1.25°の緯度間隔で格子化したグリッド(いわゆる「ネッテルトングリッド」)上で計算することにする。

 

 

 

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