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第3章 まとめ及び今後の課題

 

3.1 まとめ

本研究では、現時点での最新のデータを基に北西太平洋における海底地形を求めることを目的に、衛星アルチメトリ・データを用いた海底地形推算手法についての研究を行った。

衛星による重力異常データから面的に海底地形を推定するには、既存の水深測定データが必要である。そこで、現在得られる水深の数値データについての調査を行った。水深データは、船舶による水深測定結果の他、このデータを加工して得られるメッシュデータ、等深線データも存在する。重力異常データを用いた海底地形の推算には、船舶による水深測定結果を用いることとなる。

船舶による水深測定結果には、種々の誤り、誤差が存在する。そこで、水深データの品質チェック手法についての検討を行った。

衛星による重力異常データとしては、SmithとSandwellによる1分メッシュデータが最新のものである。

次に、海底地形の推算プログラムを開発し、モデル海域として選定した日本海の大和堆、太平洋の小笠原海台、三陸沖の3カ所において水深データの品質チェック及び海底地形の推算を行い、いずれの海域でも海底地形を良く推定することができた。

水深の実測値と予測値の差の分布は、いずれの海域でも0を中心に正規分布を示し、予測方法に系統的な誤差が含まれていないことを示している。3海域での標準偏差を平均水深で除した値は大和堆が最も大きく(0.3152)、次が小笠原海台(0.0944)、三陸沖が最も小さかった(0.0703)。これは、3海域中で大和堆付近が水深が最も浅く、起伏に富む一方、三陸沖は水深が最も深く、海溝部を除いては平坦な地形であることによると考えられる。

予測結果を見ると、3海域共に海底地形に短波長の小さな起伏が含まれている。これは、重力異常を下方接続する際に現れるもので、重力異常のバンドパス成分を抽出する時の波長帯の選択等に工夫の余地があることを示している。

 

3.2 今後の課題

今年度の研究によって、海底地形推算の基本的なプログラムが整備された。今後は、海底地殻構造の違いによる地域性を加味するなど、手法のより細やかな適用方法を研究していく必要があろう。

 

 

 

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