第3章 まとめと今後の課題
3.1 まとめ
3.1.1 当所計画のシステムは、海底地震データ検出・記録部を主体とする水中装置とのデータ伝送を、音響通信系により係留ブイを経由し、無線通信系で船上装置を搭載した調査船と双方向性でリンクする方式としていたが、経費の関係で無線系を省略する方式に変更せざるをえなかった。
しかし、4年計画で兎も角も最小限の試作システムの完成と限定された条件ではあるが最終的に実海域において評価試験を実施することができた。
3.1.2 船上装置から水中通信系を経由して吸い上げられた微小な振動波形記録と水中装置の内蔵記録とを比較し、同一であることが確認された。
3.1.3 評価試験を通じて判明した性能、機能不足については、それぞれの事項について既述のとおり改善・改良を施した。
3.2 今後の課題
3.2.1 今回は試作機であり止む得ない事情もあるが、実用システムとしては、装置特に水中装置については、ガラス耐圧球を小型な耐圧容器に変える。投げ込み設置方式とする等々取り扱い容易さの向上を図ること。
低消費電力化は全般について言えるが、特に待受(待機)時間内での工夫が必要であること。その他使用目的に対して余裕をもった仕様と性能の実現が痛感される。
3.2.2 実用機のための水中装置の仕様(指針)
通信方式:
半二重双方向通信
搬送波周波数:
20kHz
変調方式:
データ伝送時 4相PSK方式
コマンド伝送時 FSK方式
通信速度(オーバーヘッド含む):
データ伝送時 8,000bps
コマンド伝送時 1,000bps
通信制御方式:
HDLC
送信電力:
0.1/1/10W(切替)
OBS/HとのIF:
RS-232C(9,600bps)
水中部データバッファ:
フラッシュメモリカード(80MB)
電源:
DC12V(CL-350H2×4個×2組使用)
指向幅(-3dB幅):
43.7゚(at 20kHz)
最大送波レベル:
190dB(re 1μPa at 1m、at 20kHz)
消費電力
1] タイマー起動時 0.06W
2] スリープ時 2.8W
3] 受信時 5.6W
4] 送信時 47W
リチウム電池 CL-350H2 4個×2 DC12V、620Ah