人に添う中で感じる心を育てたい
医療法人愛和会愛知病院緩和ケア病棟
西ヶ谷 真希
はじめに
全ての患者さんがどこにいても同じように質の高いがん医療を受けられるようにするため、我が国の緩和ケアも「一部の医療従事者による一部のがん患者のための特別な医療」から「全ての医療従事者による全てのがん患者のための一般的な医療」へと転換1)し始めているという。そんな中、緩和ケアに対するニーズが社会的に高まり、緩和ケア病棟が全国的に増えているのは当然と言える。しかし、各病棟のケアの質の確保・向上のためのソフト面の充実が、困難かつますます必要とされてきている。
また、私自身は、看護婦として3年目、緩和ケア病棟での経験が1年半になる。看護婦・一人の人間として未熟であり、力不足を痛感する。病棟でも毎日が学びの連続である。そして更にもっと違った方法・考え方はないか、他施設ではどうしているのか、等の思いを多々抱く。より多くの人と関わり、様々な考え方・知識を得、職場のケアの質を客観的に見つめたい、活かしたいと思い当研修に参加した。
6週間にわたる研修で、自分の目標に即して学んだことと、今まで自分で気付けなかった問題・課題・学びがあった。これからも学び続けるために、研修で学んだこと、得た課題の中の幾つかについてここに報告したいと思う。
研修参加の目標と課題
1. 様々な人と関わり、多様な考え方・価値観を知り、視野を広げる自分の考え方・価値観を客観的に見つめる。
2. 緩和ケアの基本的な考え方・知識・技術を再確認・追加し、修得する。
1] 症状マネジメントにおける看護婦の役割を学ぶ。
2] 家族・遺族ケアにおける看護婦の役割を学ぶ。
3] 他職種の役割を知り、チームアプローチについて学ぶ。
4] スピリチュアルペインについて自分なりに考えられる。
5] サイコオンコロジーについて学ぶ。
3. 他施設の方々との関わりの中で、自分の施設の現状(長短所含め)を見つめ、学びをどのように活かせるかを考える。
研修を通して学んだこと及び今後の課題
1) 様々な人との関わりからの学び
研修で得たものの一番といえよう。学んだ仲間。研修センターの皆様。講師の方々。実習先で出会ったスタッフの方々。患者さんと家族。予想以上に様々な人と出会い、触れ合えた。学びや気付きを一つ一つ挙げたらきりがないが、目標通り、多様な考え方・価値観に触れることができた。強く感じたのは、相手が何を大事に思っているか、何を伝えたいのかを感じたいという気持ち・姿勢が大切であるということと、その中で自分は何を受け取れるかということである。そして自らの死と向かい合う講義、仲間と「宗教」「何かを信じる」ということについて話し合ったこと、実習先でのセデーションの時期について話し合い、自分の考え方の特徴・価値観を見つめる良い機会となった。ここで出会った素敵な仲間と話しつつ、自分がどんなに素敵な職場の先輩に恵まれているかを実感できたのも大きな収穫であった。今後も視野を広げる努力と人との関わりを大切にしていきたい。