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緩和ケアの考え方について

 

国立病院四国がんセンター

木村 美恵

 

はじめに

 

平成11年11月15日から11月26日まで特別医療法人栄光会福岡亀山栄光病院緩和ケア病棟で実習をさせていただいた。

<実習目的>

研修で学んだことを、実習施設での看護の実際を通して、緩和ケアに対する知識・技術を深めることができる。

<実習目標>

1. 施設の概念を理解する。

2. 医療チームの中で病床にある人々との関わりにおける他者理解を深める。

3. 講義での学びと実際を具体的に結び付けて考えることができる。

4. 「緩和ケアとは」について理解し、看護の専門性について考えを深める。

という上記の目的、目標について学んだことを報告する。

 

実習での学び

 

栄光病院の理念は、死を看取る医療とキリスト信仰との、ごく自然での必然的な結び付きがその基本にある。死と対峙している患者にとって、死は決して敗北ではなく、信ずる者は死んでも生きるとの信仰による支えはかけがえのないことである。症状コントロール・コミュニケーションを基本にし、社会的な援助、家族への援助と相まって、霊的援助によってホスピスケアは完結すると考える。

ホスピスケアは医療スタッフに加えケースワーカーや牧師、ボランティアなどが協力し、患者さんの残された人生の質を高め、また、ご家族のニーズに応えている。

 

1) 看護婦について

患者・家族へのケアの実際

入院時、患者・家族に対して丁寧に分かりやすい言葉で行い、患者・家族が大事にされていると思えて信頼関係が始まる。

入院の受け入れは、温かいもてなしで接しており、患者が入院時にしんどさ、痛み、嘔気の訴えがあったため、アナムネはロビーで家族より聴取した。

患者・家族に対してのねぎらい、共感する言葉がよく聞かれた。家族も患者のいない所だと、入院までの大変さ、不安などを話されていた。アナムネ聴取はDrと看護婦と家族で行い、家族の思いを傾聴していた。座り方も患者の表情がみられるように配慮されていた。Dr、看護婦、家族でアナムネ聴取にとても時間をかけ、開いた質問で丁寧であり、入院時のアナムネでねぎらいの言葉がけ、共感しゆっくりと時間をかけて行うことで患者・家族、医療者の信頼関係につながっていると感じた。

一般的には看護婦とDrは別々に患者の所に行き、患者と同じことを聞いたり得たい情報だけを聞いているが、ホスピスではチームで患者をみるという意識がみられた。

 

2) 症状コントロールの実際

身体的苦痛のコントロールはホスピスケアの突破口であり、これを経て初めて次の段階のケアに進めるといえる。肉体的な痛みに苦しむ患者の多くは、鎮痛療法により痛みがほとんど除去あるいは軽減できる。しかし、少なくとも10%は「WHO方式癌疼痛治療法」を駆使しても除去できないと報告されている。

 

 

 

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