日本財団 図書館


3. 地方港の航路開設動向を見極めたアジア方面貨物の呼び戻し

(1) 現状

外航船社へのアンケート結果によると神戸港のアジア方面の内航フィーダー貨物は、震災前後で9割以上の減少となっている。

この背景には、近年、西日本の各地でコンテナ港整備が進められ、アジア航路を中心に航路開設が相次いでいることが考えられる。

西日本の主要地方港に、平成11年だけで19航路が新たに開設されている状況に見られる地方港の外貿航路の拡大の動きは、港湾管理者を中心に地元関係者が連携した外航コンテナ船の積極的な誘致活動により、徐々に進展しつつあることがうかがわれる。

このような地方港の取り組みは、阪神・淡路大震災と時期が重なったこともあり、神戸港に与えた影響は大きいと考えられる。

しかしその一方で、地方港は集荷力に限界があることや、輸出入コンテナのアンバランスが大きな問題となっていること等から、地方港において航路廃止や再編の動きも見られている。

そのような点を踏まえ、地方港からアジア方面へとダイレクトで運ばれている貨物についても、神戸港に呼び戻していくべき対象と考えることができる。

 

(2) 課題

1] 地方の航路再編動向を見極めた集荷活動

・アンケート調査では、神戸港に内航フィーダー貨物の誘致を図る上で、地方港からの直接の輸送との競合は輸送時間、運賃の面で、内航フィーダーが不利であるという結果となっている。

・一方、地方港においては、輸出入のアンバランスが大きい等の問題があり、航路廃止に至るケースも少なくない。

・そのため、まずは地方港における航路開設の動向を見極めながら集荷方策を検討していくことが必要である。

 

2] 地方港の配船スケジュールに合わない需要の取り込み

・地方港にはない魅力をさらに高めて行くことにより、神戸港へ内航フィーダー貨物を誘致していくことが必要である。

・神戸港は西日本最大のコンテナハブ港であり、航路の充実度は利用者から高く評価されているが、地方港のコンテナ航路は、方面や便数が不十分な面があることから、荷主のニーズを十分満足させていない配船スケジュールとなっているケースも見受けられる。

・神戸港においては、航路の充実や諸手続きの迅速化等により利便性を一層高め、このような需要を神戸港に集めていくことが必要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION