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2.将来展望

 

(1)明石海峡大橋利用の展望

1] 明石海峡大橋の利用率の高まり

瀬戸大橋の例では、瀬戸大橋開通前後で岡山―高松間の断面交通量は約6割の増加を遂げている。これには、商圏・配送圏の拡大・企業立地の進展などさまざまな要因が考えられるが、年々増加する傾向が見られ、架橋の両端での交流は着実に拡大しつつあるといえる。

明石海峡大橋に関しても、アンケート調査からフェリー利用や瀬戸大橋利用か明石海峡大橋利用への転換が見込まれ、更には内航船や鉄道からシフトする動きも見られたことから、中長期的にも利用は拡大傾向にあると考えられる。

しかしながら、環境問題、マルチモーダル等の観点から、明石海峡大橋をはじめとする高速通行料金のあり方については、今後も議論が高まるものと考えられる。

2] 明石海峡大橋利用エリアの拡大

四国に立地する荷主及び物流事業者へのインタビューでは、「明石海峡大橋の効果は徳島で止まっている」といった意見が複数得られた。これは現在、四国地域では明石海峡大橋の利用は徳島県及び香川県の高松以東に限定されており、四国のその他の地域では明石海峡大橋の利用は少ないことを示したものである。

その要因として、四国島内の高速道路網が明石海峡大橋に繋がっていないことが指摘されている。特に、明石海峡大橋から徳島方面、高松方面への接続、高松と徳島の接続、対面通行区間の多さなどは、今後の要望としても複数指摘されている。

明石海峡大橋と徳島との接続が図られることにより、明石海峡大橋を利用した場合、高知、愛媛と関西圏の時間短縮が期待されることから、今後の四国島内の高速道路網整備の進展に合わせて明石海峡大橋を利用するエリアは四国の西部、南部へと一層広がっていくといった見通しが得られる。

3] 貨物量の大幅な伸びは期待薄

貨物量については荷主、物流事業者ともに変化なしといった見通しが大半を占めている。そのなかで、荷主は今後増加していくといった見通しが若干見られるが、物流事業者の場合は厳しいといった見通しの方が強い。

このような物流事業者の貨物量に対する厳しい見通しは、四国・淡路側の企業に多く、その最大の理由として競合の激化があげられている。また、明石海峡大橋が開通したことにより、具体的に増加した貨物というのが生鮮食料品を除いて顕在化していないことも厳しい見通しを持つ一因となっていると思われる。

 

 

 

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