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(2) 観光分野における今後のあり方と課題

平成7年6月に策定された観光政策審議会答申「今後の観光施策の基本的な方向について」の観光を考える基本的視点の中で、以下のような視点が示されている。

a) わが国はものづくり立国からゆとり観光立国へ転換する必要がある

b) 観光産業は21世紀の経済を牽引する基幹産業であり、国内雇用を新しく創出する(以上、抜粋)

a)については、現在、人々はものよりも健康、感動、ゆとり、精神的効用等の形のないものに対する価値を認めつつあることから指摘されている。b)については、観光産業が旅行業、交通産業をはじめとする幅広い分野を包含した産業であり、わが国の経済に大きな貢献をしているとしている。また、世界的にみても、観光産業は、世界の雇用及びGDP(GrossDomesticProduct:国内総生産)の1割を確保していると指摘している。

以上より、観光産業は、21世紀のわが国経済において重要な産業であることが示されている。

このことからも、明石海峡大橋の開通を契機として、京阪神と淡路島・四国が連携した観光振興を図っていくことが重要である。また、このような明石海峡大橋の開通を契機とした観光戦略の一つとして誘致された国際園芸・造園博「ジャパン・フローラ2000」が淡路島において開催された。このジャパン・フローラ2000により、再び淡路島への来訪者が増加するのみならず、国際観光振興の視点からも大きなインパクトが期待されている。

今回の調査結果を踏まえると、観光分野における取り組みのあり方と課題については、以下のようなものがあげられる。

1] 観光利用に対応した公共交通機関の充実

わが国の交通体系は、全国的に自動車交通への依存を強めてきているが、これにより生じたNOx等による大気汚染等の環境問題が顕在化してきている。

また、淡路SA利用者(自家用車または観光バス利用者)のアンケート調査においても、観光目的の割合が7割と非常に多く、自家用車による観光目的移動の比率が高いことが示された。

そのため、今後、輸送効率に優れ、環境への不可の少ない公共交通機関の活用と利用促進を図るために、観光施策と交通施策が連携して、観光利用に対応した公共交通機関の充実を図っていくことが必要である。

a) 小グループ旅行における公共交通機関の利用増進方策

アンケート調査結果では、高速バスや旅客船・フェリーの自家用車に対するメリットとして、低廉性があげられているが、アンケート回答者の属性をみると1人や2人の利用が多くなっている。実際には、小グループ旅行においては、公共─交通機関より自家用車の方が低廉である場合が多いと考えられる。

現在、大グループ旅行の需要が減少し、小グループ旅行の需要が増加しつつある状況も鑑み、小グループ旅行へのサービス改善等に取り組むことは重要である。

具体的には、公共交通機関のメリットの一つである低廉性をより生かすため、小グループ旅行における公共交通機関の低廉性のメリットを生かせる仕組みづくりや新しいサービス提供について、関係者の協力の下、実施していくことがもとめられる。

 

 

 

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