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しかしながら、飲料水への適用において生物学的処理はいまだ広範には利用されておらず、このため法律上の承認を必要としている。結論として、メタノールは生物学的分解を利用した除去と飲料水処理の両方において除去されることが可能である;しかしながら、効果、費用および社会に受け入れられるかについては、場所に左右される。

 

8.4 人間と水における毒性

 

メタノールの特性と毒性はよく理解されており、メタノールをごく大量に取り込んだ場合の影響である目への毒性と代謝の酸性症がよく知られている。メタノールは突然変異性でも発ガン性でもない。メタノールは人と動物に毒性の影響を与える一方で、最近の調査から、これらの影響は大量に取り込んだ場合にのみ発生することが指摘されている(Festa、1996年)。メタノールはしばしばガソリンより毒性が強いと考えられているが、メタノール蒸気の許容濃度(TLV)はガソリンの許容濃度よりわずかに低いものである;そして米国エネルギー省は、ガソリンは純粋メタノールよりも健康に対し「総体的に」よりリスクがあるとみなしている。

メタノールは海洋生物にとっては石油燃料よりはるかに毒性が低く、短期被曝の影響の多くは一時的で回復可能である。メタノールに関し報告された中央致死および中央有効濃度の値に基づいて、汚染防止および毒物局はメタノールはテストされた4つの水生魚類に対し本質的に毒性がないことを示した。しかしながら、メタノールの地表水への漏出は、その区域の魚類に対し毒性を持つことが証明されている酸欠状態につながる可能性がある。メタノールのバイオ蓄積の可能性は極めて低く、環境の中の受容体に対し比較的毒性がない。メタノールの水における毒性が高い場合、毒性の濃度は地下貯蔵タンクの発生源区域の近くや純粋メタノール製品の漏出の後観察される;この濃度は急速に低下するだろう。このように、ほとんどの場合、メタノール濃度は周辺の生物に対し軽微なものであるが、極端な状況のもとでは、メタノールは固有の微生物や水生動物に対し毒性となりうる。

結論として、環境の中のメタノールの消滅と移動はよく理解されている。土壌、地下水、および地表水へのメタノールの漏出は好気および嫌気の両方の状況の下で急速にバイオ分解され、結果としてメタノールは存続しないと考えられる。メタノールは人と固有の微生物の両方にとって通常のガソリンより毒性が低いことが明らかになっている。このため、この分析に基づけば、メタノールは通常のガソリンと比較し、より環境にやさしい燃料であるとみられる。

 

 

 

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