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私はチベットの専門家ではありませんが、中国をやっているといやでもチベットの材料が集まってきたので、それでまとめてみようということで、印パの核実験を契機として、チベットが重要だということでまとめたわけです。

それをみてもわかるように、とにかくやっていることは至って当たり前のことをやっているわけですね。つまり道路を造って、餓死しないように飯を食えるようにする。当たり前のことだけれど、チベットでそういうことをやるということがどんなに異常なことかと考えると、ものすごく異常なことをやっているわけですね。そこまでしてチベットを確保しようとしていると同じように、今日もお見せしたように、南シナ海でやっていることだって、まことに異常なことで、あんなことまでしてあそこを確保しなければならないか。それは資源であり、シーレーンである。やっていることは異常な熱意でやっているわけですから、いったん確保したものをそんなに簡単に手放すはずがない。

 

57:放っておけば、どんどん既成事実ができてくるだけ

 

例えば南シナ海の問題を平和的に解決しましょうとか、ASEAN地域フォーラムで平和的に解決しましょうとかいうのは、戯言もいい加減にしてくれ、といいたいですね。それは東シナ海でも同じです。私は、このまま放っておけば、どんどん既成事実ができてくるだけだと思います。

 

58:外堀内堀を埋めて本丸を乗っ取るのが中国の戦略

 

私は尖閣列島の領有権を主張しなくていいということではなくて、尖閣、尖閣とこだわっていると、知らぬ間に中国は東シナ海でいろいろなことをやってしまって、本丸も乗っ取られてしまいますよ、ということを言っているのであって、領有権を主張しなくてもいいとか、そういうことを申し上げているわけではないんですね。

言うまでもないことであるけれど、中国もそんなにこだわらなくて、外堀、内堀を埋めて、本丸を乗っ取る。戦わずしてやるということで、中国は馬鹿ではないですから、自衛隊の力はそれなりに評価しているわけですし、アメリカの力も充分承知しているわけです。いかに戦わずして目的を達するか。まさに、戦わずに勝つのが上の上、戦って勝つのは下の下ということは、孫子の兵法に限らず当たり前の話であって、どこの国だってそういうことをやるわけで、無益なドンパチをやることほどばかばかしいことはないわけですから、それは絶対にやらない。

そういうことが着々と進んできていて、まだいまなら食い止められるけれど、このままにしておくといけない。本来は中間線を引いたところで、中間線の中には絶対に入れないということをしなければいけなかったんですね。それを入れてしまったわけですから。

 

59:海上保安庁や海上自衛隊の現場は歯ぎしりをしている

 

私は海上保安庁の人とも接しているし、P3Cに乗っている人にも接していますが、現場の人は歯ぎしりをしているわけです。

 

 

 

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