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ですからその制度はできているんですが、いま彼らがまた要求を加えてきたのは、その周辺の施設についてです。何かもう通過通航だけでなくて、要するにあのへんの施設についてできるだけ経済的協力が得たいということです。

この点はまだ進展する可能性はあるんです。例えば日本が通航の施設のために金銭的協力をしても、それが流用される可能性がある。そういうことをしないようにチェック機能を持った機関ができるといいでしょう。しかし、そうすると、それがまた何か内政干渉になるようですね。エジプトは国際運河の収入を、運河だけではなく国の財政に利用するでしょうから、マレーシアとしてもそうしたいんじゃないですかね。

川村 マニラ会議の時に、この問題でちょっと発言させてもらったんですが、一番避けるべきなのはタリフといいますか、通航税みたいな形ですね。沿岸の諸国が徴収するというやり方は馴染まないでしょう。

だから間接的に、例えば基金みたいなものを作って、そこへ利用する国が寄付するというような形式が一番妥当ではないかと申し上げました。

避けるべきはやはり通航税みたいにして取り立てるという形です。しかも沿岸国が直接徴収するという形は利用する側から見て馴染まないのではないですか、という発言をしたのです。

確かにマラッカ海峡、シンガポール海峡あたりを見ますと、水深が次第に浅くなっていますので、ドレッジング〔浚渫〕も必要ですし、航路に沿っていろいろなブイとか標識なども立てなければならない。マニラの会議でも、「しかもそれを設置しただけではだめで、やはり海に置いておきますと傷みも激しいですから、それを定期的に維持整備しなければならないからまだまだ金が要るんだ」ということを言っていました。

そこで、「実際に事故が起こったら、三千億円ぐらいの金がかかるでしょう」と言う話になりました。一回タンカーが事故を起こして、まわりに深刻な被害が出た場合、過去の事例から何千億円の被害がでる。それに比べれば、そういう施設に投資する金というのは微々たるものですと言う話で、これは、インドネシアのジャラール大使が言ったんですかね(大内 そうですね)。そういう紹介がありました。日本としては非常にくすぐったいけれども、会議の席上、言われたことを正確に申し上げますと、「とにかくあそこに唯一貢献したのは日本だけだ」と。そして、ジャラール大使は、会議の席で、一人ひとり名指しで、「韓国はやっていない」、「中国はやっていない」、と目の色を変えて言っていました。

大内 日本としても、何でみんなが使っているのにおれのところだけがやるんだという思いはあるんでしょうね。私が会議に出た印象からすると、「みながやらないなら、だからこそ日本だけがやったらいいような気」がしますね。そうすると、アジア諸国は、非常に恩義に感じて、義理を感じる民族ですから、外交上はたいへん有利だという気がするんですけれども。

 

10:マラッカ海峡における日本財団の貢献

 

川村 あの会議の時は、日本財団というNGOが、国を代表して立派にやっているんだなという認識を持ちましたね。やはり代表していただいているということは非常にうれしく思いました。

 

 

 

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