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戦略論的に考えたら、日本にとっても中国にとってもそのほうが望ましいわけですね。

曽我さんの考え方は、安定の方向へ推進する面白い考え方だと思うんです。けれども、さっき山本さんが言いました大局観にわたしは同感でして、中国国内に矛盾が出てくるだろう。

そこで、曽我さんの考え方は、われわれの望ましい方向へ進めるために、われわれがオファーできる魅力的なインセンティブになるような気がしてならないんです。これは感想です。

山本 本当にそうだと思うんです。「もし必要だったら寄ってらっしゃい」といって、一緒にやる。結局そっちに来ざるを得ないようにすればいいんです。

曽我 「そんなに高い価格で買わなくてもいいんじゃない」、「こういうふうにすれば、安くなりますよ」という提案を続けることが日本にとって重要ですね。

山本 それで、中国がこっちへ来ればいい。「儲かればいいじゃないですか」と提案する。「いやなら結構ですよ、高いものをお買いなさい」と言う。これは戦略ですよ。

 

14:中国は石油を戦略物資としてとらえている

 

加藤 中国の体質では石油をコモディティとは見ずに、戦略物資化する見方が強いんじゃないですか。

十市 その通りです。石油は「アングロサクソンが支配する世界のもの」であるから輸入依存をしたくないのです。でも、輸入せざるを得ない。ついては、輸入するからには自分たちが開発をするという姿勢です。だから日本と同じなのです。「日の丸原油説」です。海外に出ていって自分たちが開発したものを持って来たい。だからイラン、イラクであろうが、カザフであろうが、メジャーを通して輸入するのではなく、自分で開発していく。

 

15:中国でも切実な問題になる「供給途絶」

 

加藤 沖縄のことを考えるときに、そこがカギなんじゃないですか。

十市 あとは、いわゆる備蓄ですね。中国の輸入度はこれから高まりますからね。先ほど話がでた供給途絶に対する緊急危機管理の必要性が中国でも切実な問題になるでしょう。石油備蓄を日本のようにもっている国はないのです。そもそも、今までは、必要なかったのですから。

中国の輸入量が増えてくれば、危機管理の一環で備蓄を持たなければいかんという意識はかなりでてくる。ただ、コストがかかりますね。これは保険料です。そういうものを、これからどうするかですね。いま、日本は日本の分だけの備蓄をしている。韓国は備蓄を持っていますけれども、非常に実質が低い。備蓄はコストがかかります。

そういう意味で、不測の場合の備蓄をどうするか。そこで、沖縄にあるタンクを、あるいはバイパス量を増強して、アジアの共同備蓄的なものを作ろうというアイディアがあるんです。地理的にも沖縄にはそれなりのベースもありますから。これはコストをどういうかたちで誰が出すかという話にもなっているんですけれども、それはそれで、国主導で政策論的にわりとできる話ですね。

 

 

 

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