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沖縄FOB価格を出せないかという発想をしてみてください。ドバイ原油が国際的にリーズナブルかどうか危うくなってきているでしょう。これは、サウジアラビアにとっても危ないことなんです。それとリンクして売っているということがいいのか悪いのかという問題があります。

そこで、沖縄では低質なハイサルファーと欧州から出てくる非常に高品質な原油をブレンドして出荷する。これは、まさに日石三菱さんがキイレでやっていることです。それを、季節に合わせて、油のほしい製油所にブレンドして出す。中国に出す。そうすると、中国の処理設備の負担がかなり減るでしょう。それだけでもたいへん結構なことです。

私は中国も韓国もサウジアラビアもノルウェーも出資をして、そういうものをつくるのが一番理想だと思います。できるかできないかは別にしての話ですが。

 

10:共産主義がじわじわ溶かされて、結局自由化されていく中国

 

山本 自由主義経済圏の行き方としては、おっしゃる通りの方向へ行くべきだし、現実にそうなると思うんです。韓国とか台湾とか、あるいはわが国にとっては、それは結構な方向だと思いますが、いわゆる共産中国の政府としては許しがたい方向でもあるわけでしょう。しかし、中国の中でも、上海、深セン、海南島、煙台といった、いわゆる経済特区を設けて自由経済化している経済圏の人たちは、もうわれわれのほうに近いですね。曽我さんが言う方向に、もう喉から手が出るぐらいに行きたいと思っていることでしょう。そして、そっちの方向に行かざるを得ないと思うんです。ところが北のほうの北京は考えが違います。これが問題です。いわゆる共産中国は、それをやられたら共産中国が成り立たない。だから、やれないんです。中国の南と北では、政治体制と経済体制がまったく違うので、南はよくても、北は抵抗する。しかし、南はもう乗っかっていくしかない。だからこれが大問題になるのです。中国が南と北のどっちに収斂するかは大変な問題です。すでに、ここでもう戦いが起こっていると、わたしは見ています。話を沖縄にもどせば、沖縄につくられる低コストの方でやらざるを得ない。そっちに入って来るんです。そうすると北京政府は反対するが、中国経済が成り立つためにはそちらに行かざるをえない。

そこで、哲学的な話になって申し訳ないが、私がいつも思っていることをいわせていただけば、おそらく南側の自由圏の勢力がじわじわ強くなっていく。共産主義がじわじわ溶かされて、結局自由化されていく。その過程でこういうことが起きてくるというのがわたしの歴史的な大局観です。今日、あらためて石油の話を聞きましたら、やはりその大局観通りに動いていることが了解されました。

これはもう沖縄とか韓国が一緒になってやるしかない。21世紀はそういう時代になっているんだ、まさにわれわれがやってきた日韓協力の安全保障の面から考えても、そっちの方向に非常に一体化している。そういう感じを今日は受けたんです。だから、今日お聞かせいただいた話はとても面白かった。

 

 

 

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