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21:実際に存在するプラットフォームの事例:KJ Shuttle

 

小川 通産省などは、プラットフォームづくりが上手でしょう?

加藤 通産省でやっているプラットフォームは、新しい事業を創出するために、ベンチャーキャピタル、技術を持っている人、お金を持っている人、特許の管理をする人、マーケティングをする人や、いろいろな機関を組み合わせるという考え方です。ところが、海はものすごく大きな問題で、いま山内先生がおっしゃっただけでもものすごく幅がひろい。ただデータベースを作るということではなくて、それをプラットフォームにし、問題提起をしていく機能を持たせていくということになると、大変なことだと思います。

山内 しかし、例えばKJ Shuttle17 みたいなものは、実際に存在するし、私はいいプラットフォームの例だと思います。この日韓対話のケースは、ガイドラインという非常にイシュー・スペシフィックな問題が起こったときに、日韓のネットワークを作る必要があった。そのプラットフォームの上に沢山の専門家が乗っかり、さまざまなインタラクションが始まり、非常にフレキシブルに広がっていった。そのイシューが終わればまた次のものへ移っていく。NGOというのはそういうものではないでしょうか。

加藤 そういう境界領域で、クリアなビジョンとか、社会環境、経済環境が大きく変わった分野で、先を見失っている分野とか、従来型の枠組ではできない分野を見つけてきて、それに対応するプラットフォームを作り出していく機能を持てれば非常にいいですね。

 

22:完全に行き詰まった従来のビジョン型行政

 

山内 従来のビジョン型行政は完全に行き詰まっています。かつて通産省の環境政策で立派なビジョンができたのはなぜかといえば、それは、「後発者効果」で説明できる部分が多いと思います。つまり、欧米に良い先達というお手本があり、官僚は既成のビジョンをいち早く日本に移植すればよかった。お手本を持ってくれば、ある程度先の予測ができたというわけです。現状ではそのような形でのビジョン形成は非常に難しいですね。

 

23:「暗黙知」「形式知」「共有化」「内面化」のサイクル

 

しかし、「暗黙知」と申しますか、組織の中で「形式化」はされていないけれど、新しい知識が至るところで生まれている可能性はあるんです。「暗黙知」を言葉にして、つまり「形式化」して、それをさらに共有していくことが必要です。

 

17 日韓安全保障対話。国際経済政策調査会と岡崎研究所が、1997年6月に韓国のYoido Societyと始めた専門家同志の対話。http://www.glocomnet.or.jp/okazaki-inst/ 参照。

 

 

 

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