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それで、「味がどうのこうの」といって、作るようなことをやってきたんです。だから中華料理に関しては、私はそれなりに興味をもってきた。(爆笑)

それからいくと、退役自衛官のトップと言っても、本当に何も知らないものですから、大した料理でないのに、それだけで負けちゃっている。ああいうときは、部屋も大きな豪華な部屋で、大きなテーブルでいろいろなものが出てくる。それだけでいかれちゃう。

 

59:ちょっと親切にされると感激してしまう冷飯食い

 

もうひとつ驚いたことは、むこうはまだ文革中の毛沢東時代ですから、訪問先に行くととにかく全員が出てきて迎えてくれる。国を挙げてやるわけですから、鐘や太鼓でどんじゃらどんじゃら、仕事を全部ストップして歓迎してくれるわけです。そんなことをしても平気な社会でした。今なら、そんなことをやったら経済や工場がとまってしまうから、もうできませんが、そんなことはいっこうに構わない時代でしたから、もう全員が出てきてずらっと整列して歓迎してくれる。それだけでまいっちゃうんです。「これだけ出てきてやってくれた」と言って感激している。私などは「この人は軍人だったの?」と、ほんとうに情けない思いをしました。

特に自衛隊は軍隊ではなくて、冷や飯を食わされていますから、すぐ感激しちゃう。軍人らしい待遇で処遇してもらうと、すぐジーンと来てしまう。だから、日本国内で、ちゃんとやるべきことをちゃんとやっておかないから、こういうことになるんだと思います(爆笑)。だから、軍隊が軍隊らしくなってくれないと困ると思うんです。

 

60:失礼きわまりない栄誉礼

 

二年ぐらい前の産経「正論」に私が書いたんですけれども、藤縄祐爾陸幕長が中国へ行かれた。私は、中国の解放軍報の記事を見て、ものすごく頭にきたんです。陸幕長というのは、私はえらいと思っていますし、偉いですよね。それに対する中国側のプロトコールが全く人を馬鹿にしている。陸幕長に対して栄誉礼をやったのが副総参謀長なのです。しかも4人いる副参謀長の四番目のドンケツの副参謀長が栄誉礼をやった。まったく人を馬鹿にしています。だから、そんなものはやめて帰ってくればいいわけです。そういうものを甘んじて受けるなんていうことはとんでもないことで、一点全くなっていない。そのときに栄誉礼をやったのが熊副総参謀長です。

その後、久間章生防衛庁長官が国防のトップの遅浩田と会った時に、久間長官が、「秋山防衛次官が近く中国を訪問することになっている」と言ったら、遅浩田が「秋山次官とわが軍の熊副参謀長は旧知の仲である、非常に親しい間柄であるから、その二人をまぜもちにして防衛交流、軍事交流をやって、信頼醸成を高めましょう」と言った。つまり熊というのは窓口なんですよ。窓口に陸幕長がプロトコールをやられて、何とも感じていないというのはいったいどういうわけだということを僕は「正論」に書いたんです。そうしたら、何の反応もないんです。

 

 

 

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