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私は、大変失礼ですが、今までの自衛隊なら完全に宣伝に乗せられると思います(大拍手)。拍手が非常に多くて私は安心したんですけれども、そういう動きが二、三年前に出始めていたときに、統幕などから意見を聞かれたときに、私は今のようなことをもって、「とんでもないことだから信頼醸成はやめてください、何もしない方がいい。何かやったらつまらないことをしでかすからそれはやめてください」と言ったんです。私の意見は今でも変わりません。

 

58:若いときに苦労せよ

 

非常に申し訳ないけれども、ここにも自衛官が何人かおられる。現役もおられるし、元自衛官もおられるわけですけれども、ここにいらっしゃる方はそんなことはないと思いますけれど、世の中には、非常に単純な方がいらっしゃるんです。中国に行っただけで、簡単にいかれちゃうんですね。

私は若いときに苦労しました。30歳代の初めの頃に、非常に幸いなことに、私の先生から「香港総領事館へ行って勉強してこい」と言われて行きました。今は専門調査員制度というのがひとつ制度化してしまいましたけれども、当時はまだ制度化されておらずに、香港総領事館に人を不定期に送り込むということがようやく始まっていた。私の先生の薦めで「お前まだ若いんだから」ということで、行きました。当時は、中国へ行けなかったわけですから、「香港へ行って、よく勉強してこい」といって出された。

その時に、いま私の大学におられる新井弘一さん(杏林大学教授・元大使)が、その時の外務省本省の調査のボスでして、とにかくおっかない人でした。私はまだ30歳ぐらいで、チンピラだったものですから、新井さんが大きな声で怒って、「お前なにしているんだ」とやられたんです。

香港の岡田総領事は、岡田春夫さんの弟さんで、「そんなに正面切った勉強はしなくていい。せっかく香港へ来たんだから中国人がどんなものかをよく観察しなさい」と言われた。これが有り難かった。

その時の経験は一生役に立っています。私は元旧軍の人とか、退役した自衛官のトップが訪中するさいに、団体の中に潜り込んで行ったことがあるんです。その時、本当に感じたことは、彼らは中国について何も知らないんですね。見るもの聞くもの食べるもの、全く知らないものですから、もうそれだけで降参です。大した食い物を食わされているわけではないんだけれども、中華料理というものを食ったことがないものですから、参ってしまう。

それから何十年も経っていますから、いまでは、退役自衛官のトップも中華料理を食べていらっしゃるかと思いますけれども(爆笑)、当時は中華料理を正規に食べたことのない人がいてもおかしくなかった。

ただ、私は香港に二年お世話になっている頃から、中華料理については一家言を持つぐらいになっていたんです。私は料理は作りませんけれども、食べたときにうまいときには「これはどうやって作るんだ」ということを必ず聞いたんですね。初めて食うようなものがあると、帰ってうちのワイフに「今日はこういうものを食った。こういう材料でこうやって作ればできるから作ってみろ」と言って作らせた。

 

 

 

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