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16:「精油所からの排水がゼロになるような精油所があり得るか」

 

曽我 日本エネルギー経済研究所の曽我でございます。せっかくの機会ですので、自己紹介もかねてお話しさせていただきます。私は北海道の出身でございまして、先ほど中国のお話をいろいろお伺いさせていただいたんですけれども、北海道にはラーメンがあります。これは、戦争に行って、かなり過酷な状態のなかから兵隊が持ち帰ったものでして、私はラーメンが大好きでございますが、北京のラーメンはめちゃくちゃまずいんですが、いつもラーメンを食べていると、中国にはお世話になっているなと思っているのです。わたしは北大では内村鑑三の何代目かの弟子になりますけれども、最近になってようやく井上靖の『天平の甍』を読んで、頑張らなくちゃと思ってやっているところです。

北大の水産学部から最初は共同石油に入りました。これは通産省主導でやっていた和製メジャーですね。それから瀬戸内海の精油所に転勤したところが、そこで第三水俣病事件が発生しまして、私も水俣まで見に行ったことがあります。海で泳いだりして、いろいろ悩んだのですが、「精油所からの排水がゼロになるような精油所があり得るか」というのが私の最初のレポートでございました。そういう意味で、海と言いますか、水も非常に親しみを持ったかたちで人生をスタートさせていただいております。

最近はエネルギー安全保障をやっておりました。石原慎太郎東京都知事が最近は大気汚染問題を言われているんですが、十市座長がただいまそのへんをやっているものですから下働き等をやっております。いろいろなエネルギー関係の経済効率的なところを今やらせていただいております。

 

17:エネルギー安全保障の概念の変遷

 

エネルギー安全保障の概念は、長い間にずいぶん変わってまいりました。欧米の議論では物理的な安全保障は過ぎ去ったと言ってよいでしょう。いまは、エネルギー経済効率がいかに自分の国あるいは地域で満足させられるかという、相対的な国際競争の中にエネルギー安全保障の問題が入っています。

先般の講義でご説明させていただいたのは、1997年・1998年にアジアは高い原油価格で中東原油を買わざるを得ないような状態に置かれたということです。欧米が買う価格に対して、アジア全体で100億ドル(1兆円)程度高い原油を買わされた。これは、日本が湾岸戦争のときに払った金額とほぼ同額でして、100億ドルという金を2年つづけて毎年出している。そういう意味では、日本やアジア周辺では、エネルギー安全保障が未確立であり、脆弱な状態に置かれている。こういう認識を、わたし自身が、ここ2、3年感じておりますので、そのお話をさせていただきました。

 

 

 

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