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ハワイでの米太平洋艦隊司令部との意見交換で、一番印象に残ったのは、日米同盟が危機に瀕しているとの観察でした。もちろん、表面的には、ガイドライン関連法も制定され、日米同盟関係は史上最高によいのですが、5年、10年先を思うと心配でならないというのが、司令部側の専門家の意見でした。どうしてそう考えるかというと、もはや日米同盟がどうして結ばれたのかを体験として知らない若い世代が、米海軍でも海上自衛隊でも幹部要員を占めている。日米が戦争をして、日本が完全にたたきのめされ、立ちあがろうとして考えたときに、「これはとにかくアメリカと一緒にやっていくしか日本が生きていく道はない」と結論した世代は、ほとんど鬼籍に入りました。いまの、30代、40代の日本人には、日本の国力に対する驕りのようなものが芽生えてきているのではないでしょうか。だから、いまこそ、なぜ日米同盟が必要なのか、日米同盟が日本にとっても、アメリカにとっても、地域にとっても利益があるということを、自分の頭で考える。そして、行動に移すことが必要であるというのが、このレポートのポイントです。長文のレポートですが、口語体で書かれているのでスーと読んでいただけるかと思います。厚木の「シンカンポ」問題、普天間基地の移転、「思いやり予算」削減問題、ガイドラインの問題点など、日米同盟がかかえる問題を意見交換という形で総ざらいしてあります。将来、中国とのからみで、シーレーンをどうやって安定させるかに関する議論も紹介されています。詳しくはレポートをご覧下さい。

 

ハワイでのEast-West Centerとの意見交換

 

ハワイ報告の第3弾は、シンクタンクであるEast-West Centerの海洋問題の権威マーク・バレンシア博士との意見交換です。主として秋元さんに報告していただきましたが、バレンシア博士は南シナ海の専門家であり、さまざまな国際会議にも参加しており、わたしたちが良く知っている人物なので、話が弾みました。このレポートは、バレンシア博士の研究の関心、業績などを報告することを通じて、米国のアジアに対する海洋政策がおのずとにじみ出るという形式の読み物になっています。アジア太平洋における海洋シンポジウムや国際的な研究で、バレンシア博士は常に重要な役割を果たしています。このレポートが彼の人となりや考えかたを日本の読者に伝える一助になれば幸いです。

 

 

 

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