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2. 「サステナブルツーリズム」の取組み

 

観光地の持続可能性にかかわる問題の解消に向けた取組みとして、国連、世界観光機関(WTO)等によって検討されている、「持続可能な観光(Sustainable Tourism)」があげられる。

世界観光機関(WTO)の定義によれば、「持続可能な観光開発」とは、いわゆる「持続可能な発展(Sustainable Development)」の考え方を観光(ツーリズム)にたいして適用したものであり、貴重な資源をわれわれの子孫も享受できるように適切な管理(制御)のもとに利用しようという考え方である。例えば、いりこみ規制など一種の利用の制御を行うことなどにより、資源の持続性を確保しようとする取組みである。

すなわち、「調和のとれた固定状態ではなく、資源の利用、投資の方向、技術開発の方向、制度の変更が、現在だけでなく将来のニーズに一致している変遷のプロセス」を意味する。

これに、関連して以下に示すような定義が提起されており、各種のガイドブック、マニュアルなどが出されている。

 

●「持続可能な観光―地域プランナーのための指針―」(WTO資料)

持続可能な観光とは、調和のとれた固定状態ではなく、資源の利用、投資の方向、技術開発の方向、制度の変更が、現在だけでなく将来のニーズに一致している変遷のプロセスをいう。

(出典:Our Common Future, The World Commission Environment and Development)

 

持続可能な発展とは、発展の基盤となる資源を減耗させることなく行う発展のプロセスをいう。これは一般的には、資源の利用と同率で資源が再生するように管理する方法か、あるいは再生が遅い資源から再生が早い資源へ使用を切り替える事により達成される。このような方法により、資源は現在の世代のみならず、将来の世代をも引き続き支える事ができる。

(国際自然保護連合(IUCN))

 

持続可能な観光は、次のような事を目指す経済活動の一環である。

・旅行者を受け入れるコミュニティの生活の質の向上

・旅行者への質の高い経験の提供

・旅行者を受け入れるコミュニティ及び旅行者の双方が依存する環境の質の維持

 

 

 

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