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基調報告「ジャーナリストの目で見るおいしい徳島」

ジャーナリスト 安藤エリザベス

 

ニューヨーク生まれ、アメリカ育ちの私が、約三十数年前、日本に参りまして、初めて本場の和食と出会いました。やはり皆様は、大体外人ならば梅干しは苦手だろうなとお思いになるでしょうけれども、決してそんなことはないのです。私は梅干しと出会ってひとめぼれをしました。育った食生活とはあまりにも違いましたので、何でも珍しく、なんとなく惹かれるものがありました。

今思えば私は、若いうちに日本に参り、当時、自分では十分大人のつもりで、これからどうなるのかもはっきりわからないうちに、徳島県の隣の香川県に参りました。

私の初めの勉強は学校でではなく、商店街の八百屋さん、お豆腐屋さん、乾物屋さん、お魚屋さん等が私の最初の先生でした。言葉の学習と同時に、日本の風習についてのレッスンでもありました。結婚してからは、主人の家族に色々と教えてもらいました。特に料理上手のお母さんは私の良き先生でした。煮物、それに落としぶたをするとどんなによくできるのかという、落としぶたの良さ。漬物、そのぬか床の混ぜ具合。私のぬか床はなんと三十数年やっております。東京を留守にする間、留守番を頼むのも一つの仕事なんです。今はマンションですけれども、隣の方にはなかなか頼めません。何か臭く、自分の手でやらなければいけないものには、どうも慣れていないようです。ここでは身内の人もいるから言わないほうがいいかもしれませんけれども、ようやく主人がぬか床の世話をしてくれるようになりました。おいしいぬか漬がその後には出来るので、我慢してぬか床の面倒をみてくれています。

本格的なお料理の勉強は、柳原料理教室でお世話になり、今に至っております。今の仕事は、海外の新聞、雑誌などに英文で日本の食文化のよさ、特に伝統的なものを、隅々までというか、紹介する仕事になります。紹介ということにもいろいろな形がありますが、今日、特に注目していただきたいのは、ジャーナリストとして記事を書く上での紹介です。ちょっと言葉は悪いかもわかりませんけれども、ジャーナリストの力をどういう風に利用すればよいのかということを、今日の中心としてお話をしたいと思います。

皆様は今、実際に外国のお客さんと接する仕事をしておられるのではないかと思うのですけれども、これからもっとたくさんの外国人にこの徳島を訪ねてもらうためには、マーケティングが必要です。

まず、知らせるにはどうしたらいいのかということです。大勢の方々に徳島の魅力を知らせるには、色々な方法があるだろうと思いますが、先ほど申し上げたように、ジャーナリストの力を貸してもらうというのが、一つの手ではないかと思います。徳島の話題をどういう風に掲載すればいいかということは後ほど詳しくお話しいたしますが、その前に社会文化と深い関わりのある価値観と、それに伴う行動パターンについてお話をしたいと思います。

今、皆さんの表情を見ますと、いきなり異文化の話題に変わるのは何故なんでしょうかと、ショックを受けたように見えますが、実は重要なポイントなんです。私は長く日本に住んでおりますけれども、年に数回アメリカに帰ります。その都度、自分でも気がつくのですが、アメリカ人の価値観と行動パターンというものがあるわけです。

 

 

 

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