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分科会B<私たちの街で国際会議が開けるのか?>

担当パネリスト 安島博幸

 

○安島

石川と金沢をケーススタディーとして、どういうふうにしたら国際会議がもっと盛んに開かれる街になるかという話を、金沢市を中心に進めていきたいと思います。

どういう都市が客観的に見て国際会議を開くのによい条件であるのかという、国際団体連合調査による「国際会議開催都市の要件」というのがあります。

1番目はよい会議施設がある。2番目は宿泊施設が整っている。3番目は会議運営能力がある。4番目は組織の支部とか関連機関がある。5番目、安全・衛生面での問題がない。6番目、開催経費が安い。7番目、アクセスがよい。8番目、観光魅力がある。9番目、ホスピタリティーがある。最後の10番目は都市機能が高いということでして、こういうものが国際会議開催都市の要件ということです。

では金沢市がこのような条件を満たしているかどうかという面を見ていきたいと思います。

1番目のよい会議施設があるという条件ですが、金沢は実はこれがないのです。ほかの都市が最近建設を進めて整備をしつつありますいわゆるコンベンションセンターというものが金沢にはないという状況で、これまでソフトを中心に頑張ってきたというのが実情です。このあたりが一つの問題点かと思います。

それから2番目の宿泊施設が整っているという条件については、金沢市内を見てみますと最近随分いろいろなホテルがこの不況の中でオープンしておりまして、一番最新の資料ですと1万347人と、1万人を越える収容能力があります。さらに市内のホテル以外の旅館とか公的な宿泊施設を含めますと1万5,000人ぐらいの規模の収容、宿泊定員があるということで、地方の都市としては2番目の条件はすぐれているということが言えるかと思います。

3番目につきましては会議運営能力ということについては、金沢はこれまでにも多数の会議を開催してまいりましたし、ノウハウは蓄積されていると思います。

4番目に組織の支部・関連機関があるという条件は、主催者となり得るような組織があるかということで、これは大学の他にも、伝統工芸というような非常にユニークな、世界から人が来るような、そういうような業種も金沢にはあるわけです。金沢は昔から学術、大学都市でして、そういうことで今は学会が多いというのが金沢の特色になっております。

それから5番目です。安全・衛生面では問題はありません。これは恐らく国際的なアンケートなのでしょうか。日本にはこういう問題はほとんどないと思います。

6番目は開催経費が安いことというのがあります。実は国内向けですと、金沢は宿泊施設とかが安いということで非常にほかの都市よりも優位な条件にあるのですけれども、国際的にということではかなり問題があります。外国から東京まで来ても、更に東京から金沢まで来るのがちょっと大変です。少しこのあたりが問題になろうかと思います。

アクセスがよいことが7番目の条件にもあります。しかし九州とか北海道に比べれば大都市から近いというメリットもあります。

8番目の観光魅力という面では歴史的な町並みとか温泉とか、料理とか、伝統工芸とか、非常に日本的な芸能とか工芸の文化があるというのは一つの強みだろうと思います。

 

 

 

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